1996年に設立され、2021年で25周年を迎える古参の海外FX業者iForex(アイフォレックス)。英領バージン諸島金融サービス委員会のライセンスを保有し、歴史あるブローカーとして日本人トレーダーにとってもお馴染みの1社となっていますね。
そんなiForexのメリットとしてはロスカット水準0%の取引環境や、珍しい口座残高に応じた利息ボーナス、さらにスプレッドの狭さなどが挙げられるでしょう。手数料のかからないエリート口座のスプレッドは、例えばユーロドルで最小0.7pipsとなっています。
しかしこれだけ狭いスプレッドでありながら、iForexでのスキャルピングはかなり注意しなければなりません。そこで本記事ではiForexでスキャルピングは可能かどうかの解説や、スキャルピングをするのに最適なおすすめの業社、そしてスキャルピング以外のiForexでのおすすめのトレード方法についても、詳しく解説したいと思います。
iForexのスキャルピング事情
iForexでは原則としてスキャルピングを禁止している
スキャルピングは短時間でたくさんの注文を行う取引方法です。そのため、FX業社の取引方法などによっては禁止されている場合があるため、取引の前には確認しなければいけません。
結論から言うと、iForexはスキャルピングを禁止する取引の項目に含めています。公式サイトの取引規約、ならびに取引条件の追加取引規則の中で禁止する旨を明記しています。
お客様は、市場濫用と定義される方法またはその他の不正な方法で取引プラットフォームを使用したり、注文をしたり、取引を開始したりしないことに、同意します。これには時間差取引やサーバーの遅延の利用、価格操作、時間操作、スキャルピング、他のすべての不法行為、お客様に不当な利益をもたらす行為、もしくは当社が本契約の範囲外で独自の裁量により不適切、もしくは不公正とみなした行為が含まれます。
iForex取引規約 7.1.14. より引用
iForexの定める「スキャルピング」とは?
iForexが言うところのスキャルピングとは、公式サイトによると以下のようになっています。
- わずかな価格の動きで大きな利益を出そうと試みる取引戦略
- 1日に10から数百に及ぶ取引
つまり、細かい値幅を狙ったトレードを1日10回以上行えば、スキャルピングとみなされる可能性がある、と言うことになりますね。スキャルピングとみなされた場合、注意勧告、利益の没収、さらに厳しい処罰としては口座の凍結なども考えられます。
この情報は、iForexで取引するすべてのユーザーにとって重要でしょう。スキャルピングを意図していなくても、1日に10回以上の取引を行ってしまうことは珍しいとは言えません。スキャルパーではなくても、疑われるような取引はしない方が賢明ですね。
言い換えれば、iForexでも1日数回の低頻度の取引なら、スキャルピングとして処罰される可能性は低いと言えます。
iForexがスキャルピングを禁止する理由
iForexがスキャルピングを禁止している理由として、DD方式による取引を採用している(可能性が高い)ことが挙げられます。
DD方式とは
DD(ディーリング・デスク)方式とは、ディーラーを介して取引が行われる方式です。基本的に、顧客の注文はFX業者が一旦決済することにより約定されます。実際には内部マリー(顧客の売買注文の相殺)を行ったり、それ以外の注文は一旦FX業者が決済した上でリクイディティプロバイダー(FX業者に為替レートを提供する銀行など)と取引するなどして、注文は処理されます。
DD方式のメリットとして、顧客同士の注文は相殺(マリー)される部分も多いため、狭いスプレッドを提供できることや、顧客の注文はその場でFX業者が決済するため、注文したレートで約定できることが挙げられます。
一方DD方式のデメリットとしては、顧客の注文を一旦FX業者が決済するため、FX業者にとっては為替変動リスクを含むこと、顧客と業者の利益が相反する関係になることと、顧客に対して必ずしもインターバンク市場に拠るレートが提示されているとは限らないことなどが挙げられます。またDD方式では、対応しきれない注文に対しては約定拒否やリクオートがされる可能性もあります。
上記の通り、DD方式は顧客の注文をFX業者が一旦処理する方式のため、処理能力を超えた量の注文を受ける可能性があるスキャルピングは、基本的に認められていません。
FX業者の取引方式は、今説明したDD方式だけではなく、NDD方式と呼ばれるものもあります。DD(ノン・ディーリング・デスク)方式は、その名の通りディーラーを介さない取引方式。FX業者は顧客の注文を取り次いでインターバンクに流すだけなので、取引方法に対しての制限が少なく、スキャルピングも禁止されません。
本記事後半ではNDD方式採用によるスキャルピングに最適なおすすめ業社をご紹介していますので、本格的にスキャルピングに取り組みたい方は、是非チェックしてみてください。
DD方式とNDD方式の違いやそれぞれのメリット・デメリットは下記に詳しくまとめています。
スキャルピング以外にも禁止されている取引がある
iForexで禁止されている取引方法は、スキャルピングだけではありません。自動売買系の取引方法も禁止としています。iForexの取引では独自のプラットフォームを利用するので、そもそもMT4やMT5などによるEAは使えませんが、API取引なども禁止していることは知っておいたほうが良いでしょう。
また一般的な海外FXと同様に、異なる口座間での両建てやレイテンシーアービトラージなども禁止しているため、行うことはできません。
iForexでおすすめのトレード方法
スキャルピングには不向きと言えるiForexですが、提供するスプレッドやキャンペーンを活用することで中長期的なトレードとは相性が良いと言えます。ここからはiForexでおすすめのトレード方法に目を向けてみたいと思います。
スプレッドの狭さを生かしたデイトレード
1日に10回以上の頻繁な取引ではスキャルピングとみなされる恐れがありますが、それ以下の低頻度の取引であればiForexのスプレッドの狭さにより、デイトレードとの相性は良いと言えるでしょう。
iForexが提供する口座タイプは「エリート口座」の1種類のみで、それ以外のものはありません。また、開設できる口座数も1アカウントにつき1口座までと言う潔さ。シンプルに取引に打ち込みたい方には向いているかも知れませんね。
以下はエリート口座での、メジャー通貨ペアのスプレッドです。(単位はpips)
EURUSD | 0.7 |
GBPUSD | 1 |
USDJPY | 0.8 |
AUDUSD | 0.8 |
USDCAD | 2 |
USDCHF | 1.5 |
スワップポイントを狙う長期保有トレード
長期トレードをする上で気になるのが、FX業者自体の安全性ではないでしょうか。iForexには25年と言う運営実績があり、ポジションを長期保有する際の安心材料につながるでしょう。ロスカット水準が証拠金維持率0%、つまり口座資金ギリギリまでポジションを保有できるという点も、長期保有しやすい口座スペックと言えますね。
またiForexではMT4などではなく、「FXnet」と言う専用の取引ツールを用います。このFXnetでは、日本円換算のスワップポイントが簡単に確認でき、スワップポイント狙いのトレードがやりやすいと言えるでしょう。さらにiForexでは通貨ペアによっては非常に高いスワップポイントが付く場合があるので、スワップポイントや相場状況を確認しつつポジションを保有してみても良いかも知れません。
海外FX業者各社のスワップポイント比較は下記にまとめていますので、参考にしてください。
年利3%キャンペーンを利用したコツコツトレード
iForexには新規ユーザーを対象に、1,000ドル(相当額)の口座残高に対して、年利3%のキャッシュバックを行うという海外FXでも珍しいキャンペーンを行なっています。キャッシュバック 条件も、1,000ドル(相当額)以上の口座残高を維持することと共に、口座への入金や新規注文や決済、または未決済ポジションの維持と言った取引活動を定期的に行うというもので、それほどハードルが高くはありませんね。
もし100万円を口座に入れておけば、半年分でおよそ1万5000円の金利を得られる計算になり、これは一般的な銀行利息などと比較しても破格と言えるでしょう。このキャンペーンを活用することで、為替変動リスクをできるだけ抑えながら定期的な収入を得ることが可能になります。
iForexの年利3%キャッシュバックキャンペーンの詳細は下記をご覧ください。
スキャルピングに最適なおすすめ海外FX業社
iForexではスキャルピングを禁止しているため、基本的には行うことはできません。しかし海外FX業者全体に範囲を広げれば、NDD方式によってスキャルピングに対して制限のない業者も多く存在します。最後に、スキャルピングを認めており、なおかつ取引環境の良い3社を紹介しておきたいと思います。
Axiory
Axioryはトレードインフラ等を提供する会社として始まり、2013年からFXブローカーとしてサービスを提供している海外FX業者です。公式サイト内でリアルタイムスプレッドや約定スピードやスリッページ率を開示しているなど、取引環境だけではなく信頼性も高いブローカーと言えるでしょう。
ECNタイプの取引口座であるナノスプレッド口座の取引手数料は、1ロットの往復取引で6ドル。これは他の海外FX業者と比較してもかなり安いですね。またナノスプレッド口座と、STP方式のスタンダード口座のメジャー通貨ペアでのスプレッド一覧は下記の表のようになっており、低コストな取引が可能です。
(単位はpips。カッコ内は取引手数料を含む総スプレッド)
ナノスプレッド口座 | スタンダード口座 | |
EURUSD | 0.3(0.9) | 1.3 |
GBPUSD | 0.5(1.1) | 1.5 |
USDJPY | 0.3(0.9) | 1.3 |
AUDUSD | 0.6(1.2) | 1.7 |
USDCAD | 0.8(1.4) | 2 |
USDCHF | 0.4(1.0) | 1.7 |
またスキャルピング取引に特化しているとも言えるECN専用プラットフォームcTraderに対応している点も、Axioryでのスキャルピングをおすすめする理由のひとつと言えますね。多機能なcTraderを利用することで、より良いスキャルピング環境が実現できます。
Axioryでスキャルピングをする場合のメリットや注意点については、下記の記事に詳しくまとめています。
TitanFX
TitanFXは、ボーナス提供を一切行わない取引環境重視の海外FX業者です。提供している口座タイプは、ECN取引によるブレード口座、そしてSTP取引によるスタンダード口座の2種類ですが、いずれもTitanFXのZero Pointテクノロジーにより高い取引環境を実現していますね。
スキャルピングに最適とされるブレード口座では、エクイニクスNY4データセンター内に取引サーバーを設置し光ファイバー接続することで、極めてレイテンシーの少ない取引が可能になっています。
ブレード口座の取引手数料は、1ロットの往復取引で7ドル。ブレード口座とスタンダード口座のメジャー通貨ペアでのスプレッド一覧は下記のようになっており、こちらもAxioryに負けず劣らず低コストな取引が可能です。
(単位はpips。カッコ内は取引手数料を含む総スプレッド)
ブレード口座 | スタンダード口座 | |
EURUSD | 0.2(0.9) | 1.2 |
GBPUSD | 0.57(1.27) | 1.57 |
USDJPY | 0.33(1.03) | 1.33 |
AUDUSD | 0.52(1.22) | 1.52 |
USDCAD | 0.55(1.25) | 1.55 |
USDCHF | 0.92(1.62) | 1.92 |
TitanFXでスキャルピングをする場合のメリットや注意点については、下記の記事に詳しくまとめています。
XM
XMは海外FXトレーダーなら知らない人はいないと言うほどの、人気と実力を兼ね備えた海外FX業者ですね。安定した約定力と口座スペック、そして幅広いボーナスキャンペーン展開により、ベテランからビギナーまでおすすめできるブローカーでしょう。当サイトにおける海外FX業者総合ランキングでも、長年1位に君臨し続けており、まさに海外FXの代表格とも言えるブローカーです。
そんなXMですが、ECN口座にあたるXM Zero口座は、狭いスプレッドと高速約定を実現しておりスキャルピングに向いていると言えますね。XM Zero口座の往復取引手数料は、1ロットあたり10ドルとなっており、XM Zero口座とスタンダード口座のメジャー通貨ペアでのスプレッド一覧は下記のようになっています。
(単位はpips。カッコ内は取引手数料を含む総スプレッド)
XM Zero口座 | スタンダード口座 | |
EURUSD | 0.1(1.1) | 1.7 |
GBPUSD | 0.3(1.3) | 2.4 |
USDJPY | 0.1(1.1) | 1.6 |
AUDUSD | 0.4(1.4) | 1.9 |
USDCAD | 0.5(1.5) | 2.2 |
USDCHF | 0.4(1.4) | 2.1 |
また見逃せないのは、ロイヤルティプログラムというキャッシュバックボーナスを利用することで、スプレッドが広がりがちなスタンダード口座でも取引コストを抑えられるという点ですね。キャッシュバックは1ロットあたり最大約6.6ドル(0.66pips)のボーナス還元となっており、0.66pips分の取引コストが圧縮できると考えると、これは非常に魅力的と言えるでしょう。スタンダード口座は入金ボーナスに対応していることもあり、非常に広い用途で使える口座と言えます。
XMでスキャルピングをする場合のメリットや注意点については、下記の記事に詳しくまとめています。
まとめ
iForexでは原則としてスキャルピングを禁止しているため、目安として1日10回を超える短時間の取引はなるべく避けるように注意しなければいけません。そのためスキャルピング以外の中長期的な取引での利用が望ましいと言えるでしょう。
しかし逆に言えば、高いスワップポイントやキャッシュバックなどは他の業者にはない魅力であり、デイトレや中長期的な取引では、iForexの特徴が有利に働くとも言えますね。スキャルピングを行う場合は、NDD方式を採用しており取引手法に制限がない海外FX業者、それ以外の取引ではiForexのような他にはない特徴を持った業者という形で、取引手法に応じて利用する業者を変えることが重要と言えるでしょう。
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