海外FXのトレードで安定して稼げる金額が大きくなってくると、気になるのが税金対策ではないでしょうか。または、今はサラリーマントレーダーだけど、勝てる実績と自信がついてきたら専業トレーダーに移行したい、と言う希望を持っている人も少なくないでしょう。
そんな時に気になるのが、個人ではなく法人としてトレードをする、と言う選択肢ですね。法人化することで節税しやすくなるばかりではなく、仕事としてトレードをしていると言う強い自覚も持つことが出来るようになります。
しかし法人としてトレードするためには、海外FXの場合でも「法人口座」が必要不可欠。そこで本記事では、海外FXで法人口座を開設するメリットや、主要な各海外FX業者での法人口座対応状況を、詳しく説明していきたいと思います。
海外FXで法人口座を開設するメリット
海外FXで法人口座を開設するメリットは、大きく分けて下の3種類です。
- 法人化による節税効果
- ブローカーからの優遇・法人口座でしかできないことがある
- 法人化そのもののメリットを得られる
まずは、税率や節税の面から確認していきましょう。
法人口座による節税効果
まず当然の原則として、日本に在住している場合は、海外FXで利益を得た場合でも確定申告や所得税の納税義務があります。そこで気になってくるのが税制度ですが、海外FXは国内FXに比べて冷遇されていると言われていますね。以下の国内FXと海外FXの税制の違いを確認すれば、それがよくわかります。
海外FX | 国内FX | |
税制度 | 総合課税 | 申告分離課税 |
利益に対する税率 | 〜195万円以下 5%(15%) 195万円超〜330万円以下 10%(20%) 330万円超〜695万円以下 20%(30%) 695万円超〜900万円以下 23%(33%) 900万円超~1,800万円以下 33%(43%) 1,800万円超~4,000万円以下 40%(50%) 4,000万円超~ 45%(55%) | 一律20% |
※カッコ内は住民税を加算した総税率
上記の表の通り利益に対する税率としては、330万円以下までなら海外FXも国内FXと比べて同じ水準か、低い税率が適用されます。しかし、330万円を超えてからは税率は上がり続け、1,800万円を超えれば利益の半分を税金として納めなければいけません。
これは海外FX業者を使ったトレードによる利益が、雑所得に分類されることから、総合課税の対象となってしまうためですね。しかも総合課税ということは、海外FXだけの利益に対して課税されるわけではありません。兼業トレーダーであれば給与所得や不動産所得なども含めた合算の所得から税率が計算されるため、税率はより高くなりやすくなってしまいます。
そう考えると、海外FXでは利益が多くなればなるほど、節税の重要度も上がっていくということになりますね。利益をしっかりと確保したい場合は、法人化をして節税対策を行うことが必須と言えるでしょう。
法人税の適用により税率を低く抑えられる
上述の通り、海外FXの利益は雑所得に分類され、総合課税が適用されます。しかしこれはあくまでも個人の場合の話。法人としてトレードするのであれば、当然その利益には所得税ではなく法人税が適用されます。
法人税は所得税とは異なり、下記のようにシンプルかつ低い税率となっていますね。
利益 | 法人税での税率 |
〜800万円以下 | 15% |
800万円超 | 23.4% |
法人税であれば、いくら利益が増えても税率は23.4%から増えることはありません。これは最大で55%もの税率となってしまう個人の所得税とは大きな差がありますね。法人としてトレードするだけで、かなりの節税効果が期待できることがわかると思います。
さらに法人であれば、トレードによる利益を自身に対して給与として支払うことができます。給与所得であれば給与所得控除の対象となるため、個人事業のような形でトレードをするよりも控除額が増え、最終的に支払う税金は個人に比べてかなり抑えることが可能です。
計上できる経費の幅が増える
個人でトレードしている場合でも、FXに使うPCなど直接関わりのあるものであれば経費として計上できます。しかし法人としてトレードしている場合は、仕事に関わるすべてのものを経費にできる可能性が出てきますね。
例えば社宅として家賃を経費にしたり、役員や社員報酬なども経費になり得ます。経費として計上する額が増えれば増えるほど利益は少なくなるため、支払う税金も当然少なくなりますね。無駄に経費を大きくしすぎて利益がなくなるようでは本末念頭ですが、このように課税の対象額を減らすということは、節税の可能性を広げることに繋がります。
繰越控除の期間が長くなる
繰越控除とは、例えば1年目は500万円のマイナスとなり、2年目は500万円のプラスとなった時に、損益を相殺して課税対象額を減らせることを言います。もし損失を繰り越せない場合、この例では1年目は課税の対象にならなくても、2年目は500万円の利益に対して課税されてしまいます。
損失の繰り越しは個人口座でも可能ですが、最大で3年間。しかし法人口座では最大9年間となり、繰越控除の期間を長くすることが出来ます。
損益通算が出来る
損益通算とは、別の何かの利益/損益との相殺処理のことです。例えば事業所得で黒字が発生していても、不動産所得で赤字が発生していれば、その利益と損益をそれぞれ相殺して最終的な利益を申告できるということですね。
ところがこの損益通算が可能な所得として雑所得は含まれていません。個人トレーダーが海外FXで得た利益は雑所得ですので、他に損益がでていても相殺ができないという不利な特徴があります。
しかし一方で、法人で得た利益は「事業所得」となるため、所得区分に関わらずの損益計算が出来るようになります。例えば、FXで得た利益から他の事業で発生したマイナスを補填するといったことなどが可能になり、節税に繋がる可能性が高くなります。
ブローカーからの優遇や法人口座でしかできないことがある
ここまでは節税の面から法人口座のメリットを見てきましたが、実際のトレード面でもメリットが生まれる場合があります。そのひとつがブローカーからの優遇ですね。法人口座を開設することで専属の担当者からのサポートを受けられたり、取引規模が大きくなることで、交渉次第ではより有利なスプレッドでの取引が出来る可能性もあります。
例えば人気海外FX業者の一つであるAxioryでは、法人口座を開設した場合、専属コンシェルジュによる窓口を提供してもらえますね。運用資金量・ボリューム・期間次第では、特別スプレッドの提供も可能となっており、これはトレードにおける大きなメリットと言えるでしょう。
また個人トレーダーの場合、基本的に本人名義以外の人間が口座開設を行うことはできません。ところが法人口座であれば「法人の代表者」以外にトレードを任せる「担当者」を別途指定して委任することも可能なことがほとんどです。このような融通がきく点も、法人口座ならではと言えるますね。
法人化そのもののメリットを得られる
海外FXで利益を上げられるようになると、多くの人はいかにして節税できるかという税金対策のことをメインに考えます。しかし、ここでうっかり忘れがちなのが国民健康保険料ですね。個人トレーダーのまま利益を大きくしていくと、税金だけではなく、国民健康保険料が高くなってしまうことも忘れてはいけません。この辺りも法人であれば、役員報酬などで調整が可能であり、ある程度コントロールすることができますね。
また、どんなに稼げるトレーダーであっても、個人トレーダーのままでは、社会的にはフリーターのような目で見られる可能性があります。しかし法人としての肩書きがあれば、個人トレーダーとは比べ物にならないくらい社会での信用度は上がるでしょう。
各海外FX業者の法人口座対応状況まとめ
ここからは、実際に海外FXで法人口座は開設可能なのかどうかを、主要なブローカーで見ていきましょう。各業者の法人口座の対応状況は下記のようになっています。
業者名 | 法人口座開設の可否 |
XM(XMTrading) | 日本国内の法人は不可(海外法人なら可能) |
FBS | 可能 |
GemForex | 可能 |
TitanFX | 可能 |
iForex | 可能 |
Axiory | 可能 |
HotForex | 可能 |
AnzoCapital | 可能 |
Tradeview | 可能 |
LandFX | 可能 |
BigBoss | 可能 |
TradersTrust | 可能 |
Myfx Markets | 可能 |
is6com | 可能 |
一覧表からもわかるように今回確認した海外FX業者は、いずれも法人口座の開設は可能と言うことがわかりますね。ただ日本での人気がXMだけは、日本国内の法人では法人口座が作れず、海外法人のみ可能と言う点には注意が必要です。
続いて、この中から人気の高いおすすめの海外FX業者をいくつかピックアップし、法人口座の開設方法やその内容を詳しく比較・紹介していきたいと思います。
FBS
FBSでは口座を開設する時に、個人か法人かを選ぶメニューはありません。法人口座を開設する場合は、カスタマーサポートに直接法人口座を開設したい旨を連絡する必要があります。
そして法人口座を開設する際に必要な書類は、以下の2つ。
- 定款のコピー
- 代表者の身分証明書類
FBSは、最大3,000倍のレバレッジや100USD入金ボーナスなどの魅力がりますが、法人の場合でも口座の仕様やキャンペーンは変わりないようです。トレードに直接関わるようなメリットやデメリットは、少ないと考えてよいでしょう。
GemForex
GemForexで法人口座を開設する場合は、口座開設時の「登録種別」の選択で、「法人口座」を選択しましょう。登録の際に必要な書類は、以下の3つです。
- 会社登記簿謄本
- 代表者身分証明証(運転免許証、パスポートなど)のコピー
- セルフィー(代表者本人と身分証明書が一緒に写っている大きく鮮明な画像)
提出のタイミングは個人口座と同じく、1回目の出金をする前に行う必要があります。法人口座の場合も個人口座と同じく、最大1,000倍のレバレッジでのトレードや、入金ボーナスを得ることができます。
TitanFX
TitanFXでの法人口座開設方法は、口座開設時の「ライブ口座を開設する」の画面で、「法人取引口座」を選択します。日本法人登録の際に必要な書類は、以下の2つですね。
- 会社登記簿謄本
- 会社役員全員の運転免許証と保険証 またはパスポート、マイナンバーカード
TitanFXは約定スピードやスプレッドの狭さを売りにしている海外FX業者で、現在のところ入金ボーナスなどのプロモーションは初めから提供していません。法人口座でも個人口座と同じく、最大500倍のレバレッジでトレードが可能です。
TitanFXの実際の口座開設方法や口座タイプの違い、入金方法などについては下記の記事で詳しく解説していますので、口座開設を検討している人は参考にしてください。
TitanFXのスプレッドや約定力など、さらに詳細な特徴やメリットについてはこちらにまとめています。
iForex
iForexで法人口座を作る場合は、口座開設時に選択フォームがあるわけではなく、カスタマーサポートへ法人口座を開設したい意向を伝える必要があります。登録の際に必要な書類は、以下の7つ。
- 法人であることを証明する書類(会社登記簿謄本など)
- 法人の現住所証明書類
- 法人として外国為替取引を行うことを承認していることを示す書類、および実際に取引を行う者の氏名(議事録などを作成して提出する)
- 実際に取引を行う者の身分証明書類
- 実際に取引を行う者の現住所証明書類
- 株主名簿
- その他、iForexが用意する英文書類へ必要事項へ記入し提出する必要あり
今回紹介する海外FX業者の中では、必要書類はやや多めという印象ですね。口座スペックなどは、個人と法人の違いはありません。
iForexの実際の口座開設方法や入金方法などは下記で詳しく解説しています。利用を検討している人は参考にしてください。
iForexの評判や詳細な特徴、メリット、デメリットについては下記でさらに詳しくまとめています。
Axiory
Axioryで法人口座を開設する場合は、通常の口座開設フォームの最上部にある「個人口座 / 法人口座」から「法人口座」を選択し、開設手続きを進めていく形になります。登録の際に必要な書類は、以下の5つですね。
- 法人確認書類
- 法人現住所確認書類
- 取締役全員の本人確認書類
- 取締役全員の現住所確認書類
- Axioryが用意する「取締役決定書」に、取締役(またはファンド運用者)全員の署名をしたもの
レバレッジなどの取引条件は、個人法人ともに変わりません。Axioryでは、法人の顧客に対して専属コンシェルジュを設けて運用サポートする体制があり、さらに取引内容によっては、スプレッドの見直しが可能になるなど、法人口座の待遇は厚いと言えるでしょう。
HotForex
HotForexでの法人口座開設方法は、通常のライブ口座開設画面の「顧客口座インフォメーション」で、「顧客タイプ」から「法人」を選択します。登録の際に必要な書類は、以下の4つです。
- 法人確認書類
- 法人現住所確認書類
- 代表者の本人確認書類
- 代表者の現住所確認書類
レバレッジなどの取引条件は、法人においても変わりません。最大1,000倍のレバレッジや100%ボーナスを活用してトレードしていきたいですね。
まとめ
海外FXの利益を含めた年間の所得が330万円までなら、海外FXでも国内FXでも税率はそれほど変わらず、むしろ海外FXの方が安くなる場合があります。しかし、給与所得など他の所得がある場合、なかなかこのように低い所得になることはありませんね。そう考えると、海外FXの税率の高さは無視するわけにはいかないでしょう。
そのため海外FXでのトレードで大きく稼げる場合、法人化と法人口座の開設は必須と言えます。さらに法人口座を開設することで、節税ができるだけではなく、スプレッドなど取引面でも優遇される可能性がある点も見逃せませんね。法人としてトレードするには多少の手間を伴いますが、ある程度稼げるようになったら、ぜひ法人口座の開設を検討してみてください。
法人口座の開設有無だけでなく、複数のポイントに着目した海外FX業者の総合ランキングは下記の記事をどうぞ。
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