IFC Markets(IFCマーケット)は、世界的金融グループであるIFCM Groupの子会社として、2006年からサービス提供を開始したブローカー。運営歴だけで言えば、海外FX業者の代名詞とも言えるXMよりも古く、比較的老舗と言えるブローカーの1つでしょう。
そんなIFCMarketsですが、口座残高に対して利息が付くという海外FX業者としては非常に珍しいサービスを実施していることもあり、だんだん注目と人気を集めていますね。そこで本記事では、IFCMarketsの魅力や特徴、メリット・デメリットに加え、IFCMarketsの利用をおすすめする相性の良いトレーダーなどについて、具体的に紹介・解説していきたいと思います。
IFCMarkets最大の魅力は最大年利7%の利息
IFCMarkets最大の魅力とも言えるのが、「フリーマージンに対して最大で年利7%の利息(配当)が付与される」というサービスを常時提供していること。フリーマージンとは、口座残高からエントリーポジションの証拠金を引いた残高のこと、つまり取引に利用しない余剰資金です。
そしてこの利息の適用条件は以下のとおり。
- スワップフリー・イスラム口座以外のフリーマージンに対して計算
- 利息率は、各トレーダの月間取引量に応じて決定
- 利息は、毎日0:00の時点で計算され加算
- 利息金は、月末に取引口座に反映
- 獲得利息は利用制限なしで出金も可能
つまり、一般的な口座で一定量以上の取引を行うことで、毎日利息が加算されていくということになりますね。利息率については、下記の表のように月間取引量に応じて段階的に上がっていくようになっています。
取引ロット(条件ロット数) | 利息率(年利) |
10lot未満 | 0% |
10~30lot未満 | 1% |
30~50lot未満 | 2% |
50~70lot未満 | 4% |
70lot以上 | 7% |
最大年利である7%が適用されるための条件は、月間70lot以上ということで、やや厳しめの条件と言えるかもしれません。ただ、それ以下の取引量でも利息は適用されますし、仮に7%が適用された場合は、100万円の残高に対して年間で7万円の利息が付与されるということですので、余剰資金の運用ということではかなりメリットがあるのではないでしょう。
株式配当や預金利息などの他の資産運用で、年利7%が付くような運用はなかなか厳しいですし、これはIFCMarketsの大きな魅力と言えます。
ちなみに同じように口座残高に対して利息を付与している海外FX業者としては、iForexが存在しますが、こちらは年利3%とIFCMarketsより低い金利設定。取引量の条件はなく継続した取引だけで発生するという点はiForexのメリットですが、金利の高さで言えばIFCMarketsの圧勝と言えますね。
iForexの3%利息キャンペーンの詳細や受け取り方、注意点については下記をどうぞ。
IFCMarketsの特徴と評判 ~メリットとデメリット~
口座種別の特徴
IFCMarketsでは、スタンダード口座とマイクロ口座の2種類の口座が用意されています。しかし、単純に2種のどちらかから利用したい口座を選択すれば良いわけではありません。利用する取引プラットフォームによってスプレッドが大きく変わるため、口座タイプ×取引プラットフォームの組み合わせで考える必要があります。
口座スペックの詳細をまとめると、以下の表のようになりますね。
口座タイプ | スタンダード口座 | マイクロ口座 (NetTradeXはビギナー口座) | ||||||
取引方式 | STP方式 | |||||||
取引プラットフォーム | MT4 | MT5 | NetTradeX | MT4 | MT5 | NetTradeX | ||
スプレッド制 | 固定 | 変動 | 固定 | 変動 | 固定 | 変動 | 固定 | 変動 |
最大レバレッジ | 200倍 | 400倍 | ||||||
最小取引単 | 0.1lot (10,000通貨) | 0.01lot (1,000通貨) | 0.001lot (100通貨) | |||||
最低入金額 | 10万円 | 100円 | ||||||
ロスカット水準 | 証拠金維持率10%以下 | |||||||
追証 | なし | |||||||
取引手数料 | 無料 | |||||||
最低スプレッド | 1.8pips | 0.4pips | 1.8pips | 0.4pips | 1.8pips | 0.4pips | 1.8pips | 0.4pips |
最大レバレッジはマイクロ(ビギナー)口座でも400倍となっており、国内FXに比べればレバレッジを効かせた取引が可能なものの、海外FXで考えればそれほど高いわけではありませんね。スタンダード口座ではさらに低く200倍となっており、レバレッジの面ではそれほど優れているとは言えません。
またどちらの口座でもMT4を利用する場合、固定スプレッドが適用されることになります。IFCMarketsの固定スプレッドはかなり広いほうですので、基本的にはMT4の利用はおすすめできませんね。
ただ、ロスカット水準が証拠金維持率10%以下という点は評価できるポイントでしょう。詳しくは後述しますが、強制ロスカットのリスクが他業者よりも低く、含み損には耐えやすいと言えます。
優れた注文処理システムとNDDの採用で高約定力と透明でフェアな取引を実現
IFCMarketsでは注文量別に注文処理を分けることで、非常に高い約定力を実現しています。具体的には下記のような流れですね。
まず100万通貨以下の注文については、ひとまずIFCMarketsが決済をします。その後さらにポジションを加算してカバー先の金融機関へと流し、価格変動のリスクはIFCMarkets側が負うという形ですね。
100万通貨~1000万通貨の注文についても、基本的は上記と同様です。違いはポジションを加算することなく、そのままのポジション量でカバー先の金融機関へと流すという部分ですね。このレベルの注文量であれば、カバー先がすぐに見つかる可能性が高いため、IFCMarkets側で先に決済してしまうことにより、約定スピードを高めているというわけです。
そして1000万通貨以上になると、そのままインターバンクへと注文を流すことになります。これはあまりにも多い注文量の場合、カバー先が見つかりにくいということもあり、そのまま市場に流したほうが効率よく決済できる可能性が高まるためですね。
このように注文量別に処理を変えることで、IFCMarketsでは大きくスリッページするようなことがなく、安定した取引環境でトレードすることが可能になっています。
また当然NDD方式を採用しているため、不利なレート操作や約定拒否が発生することはなく、透明性の高いフェアな取引ができますね。
DD方式とNDD方式の違い、それぞれのメリット・デメリットは下記に詳しくまとめています。
ロスカット水準が証拠金維持率10%以下と低い
IFCMarketsのロスカット水準は「証拠金維持率10%以下」となっており、これは他の海外FX業者と比較しても比較的優秀なレベル。ロスカット水準が低いということは、含み損に耐えられる額が大きいということになり、相場の反転を期待してより長い期間ポジションを保有し続けることができる=負けにくいということになりますね。
参考までに他の主要な海外FX業者のロスカット水準は以下の表のようになっています。
業者名 | ロスカット水準 |
IFCMarkets | 証拠金維持率10%以下 |
XM | 証拠金維持率20%以下 |
FBS | 証拠金維持率20%以下 |
GemForex | 証拠金維持率20%以下 |
Tradeview | 証拠金維持率100%以下 |
iForex | 証拠金維持率0%以下 |
ほとんどの業者がロスカット水準を証拠金維持率20%以上に設定していることがわかりますね。中にはTradeviewのように、国内FX業者レベルの100%を設定している業者もあります。ロスカットされることがないiForexの0%と比較すれば負けてしまいますが、それでも優秀と言えるでしょう。
ロスカット水準が低いことによるメリットや各業者の比較は下記の記事にまとめています。
世界的金融会社に裏付けされる高い信頼性
IFCMarketsの親会社は、グローバルな大手金融グループであるIFCM Group。ウォール街と並んで世界有数の金融センターに数えられるシティ・オブ・ロンドンに本社を構えているなど、その信用力は世界的に非常に高く、当然その子会社であるIFCMarketsの信用も、十分に担保されていると考えて良いでしょう。
金融ライセンスに関しても、IFCM GroupはキプロスのCySecライセンスを取得しています。CySecは信託保全が義務付けられているなど、顧客資産を安全に運営するための条件を含んでおり、イギリスFCSの次に信頼度の高いライセンスですね。さらにIFCMarkets自身も、BVI(イギリス領ヴァージン諸島)のライセンスを取得しており、信頼性という面では非常に高いと言えるでしょう。
約600種の豊富な取扱商品
IFCMarketsで取引可能な商品数は、600種類を超えています。さすがはグローバル金融グループの子会社というだけあって、業界随一の取扱商品数の多さを誇っていますね。
取扱商品群及び種類は以下のとおり。
商品名 | 種類 |
FX通貨ペア | 53 |
貴金属 | 13 |
満了日のない株価指数CFD | 11 |
株CFD | 426 |
商品CFD | 33 |
商品先物CFD | 60 |
ゴールド商品 | 3 |
ETFのCFD | 4 |
暗号通貨CFD | 3 |
※各商品の中に合併商品も含む
これらを全てMT4やMT5といった同一のツールで取引できるという点は大きな魅力と言えるでしょう。
ちなみに「合併商品」とは、業者が提供している取引媒体以外に、トレーダーが自由に銘柄を組み合わせることのできる金融商品のこと。IFCMarketsでは後述する独自の取引ツール「NetTraderX」を使うことにより、このような独自の商品も取引できるようになります。
IFC Marketsの口座開設はこちら
独自取引ツール「NetTraderX」が使用できる
FXの取引プラットフォームと言えば、MT4を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか。最近では、より進化したMT5や、スキャルピングトレーダーから人気の高いcTraderも、だんだん利用者が増えていっていますね。
もちろんIFCMarketsではMT4とMT5を利用できますが、独自開発された取引ツールNetTraderXを利用できる点もポイントでしょう。NetTraderXの特徴は以下のような感じですね。
- 複数ポジションの同時決済
- MT4・MT5にも劣らないインジケーター、描画ツール
- 合併商品の作成
- 最大10銘柄のチャートを同時表示
- ワークスペースの作成保存 etc
このようにNetTtaderXは高性能かつカスタマイズ性に長けたツールとなっています。色々とカスタマイズして使いたい人や、独自でポートフォリオを作成・分析したい中上級者には、まさにおすすめのプラットフォームと言えますね。
ただしその分、初心者や従来のプラットフォームに慣れた人には使いにくいという印象があるかもしれません。独自プラットフォームということで、使い方をマスターしても他のブローカーを利用する際には役に立たず、汎用性を求めるのであればMT5を利用することをおすすめ(IFCMarketsのMT4口座は固定スプレッドのため)します。
顧客資産は信託保全ではなく分別管理(ただし保証あり)
海外FXでは国内FXのように顧客資産の信託保全が義務化されていないため、多くの業者が分別管理を採用しています。IFCMarketsに関しても顧客資産は分別管理となっており、信託保全による顧客資産の確実な担保はなされていませんね。
しかし代わりに、アメリカ最大手のAIG EUROPE LIMITEDの保険をかけており、倒産時の顧客資産については全額補償されるようになっています。AIG(AIG EUROPE LIMITED)と言えば、アメリカニューヨークに本社を構える世界有数の保険会社。分別管理とはいえ、世界的信用力のある保険会社の全額補償保険を利用していることを考えれば、資産の安全性に問題はないと言えるのではないでしょうか。
分別管理と信託保全の違い、海外FXでは珍しい信託保全を採用した安全性の高い海外FX業者は下記に詳しくまとめています。
海外FXの安全性や信頼性、安心して利用できる海外FX業者の選び方は下記をご覧ください。
スプレッドはやや広め
以下の表は、主な通貨ペアについて、IFCMarketsのスプレッドと主要業者のスタンダードな口座の平均スプレッドを比較したものです。
IFC Markets | Axiory | TitanFX | XM | ||
固定スプレッド | 変動スプレッド | ||||
USD/JPY | 1.8 | 1.5 | 1.3 | 1.2 | 1.7 |
EUR/JPY | 2.5 | 2.5 | 1.5 | 1.4 | 2.3 |
GBP/JPY | 5.5 | 5.2 | 2.0 | 2.4 | 3.9 |
EUR/USD | 1.8 | 1.3 | 1.2 | 1.2 | 1.8 |
GBP/USD | 3.0 | 3.3 | 1.6 | 1.6 | 2.3 |
EUR/GBP | 1.8 | 1.9 | 1.3 | 1.9 | 2.6 |
固定・変動に関わらず、IFCMarketsのスプレッドは比較的広めに設定されていますね。特に固定スプレッドは、他の業者に比べてかなり広いと言えるでしょう。そのためスキャルピングトレーダーや、スプレッドを含めた取引コストを重視するトレーダーは、他の業者を利用した方が良いですね。
海外FX業者業者別/口座別/通貨ペア別のスプレッド比較や、取引コストを重視する場合のおすすめ業者は下記にまとめています。
ボーナスキャンペーンは未開催
海外FXと言えば口座開設時や入金時にボーナスが付与されることがありますが、IFCMarketsでは、このようなボーナスキャンペーンを一切開催していません。ボーナスは海外FXの大きな魅力でもあるため、この恩恵を受けられない点はデメリットと言わざるを得ないでしょう。
もちろんAxioryやTitanFXと言ったボーナスを実施していない業者は他にもありますが、これらのブローカーはボーナスの代わりにスプレッドの狭さなどでトレーダーに還元しています。しかし前述の通り、IFCMarketsのスプレッドは、AxioryやTitanFXほど狭くもありませんね。
ただし、最初に説明したようにIFCMarketsには「出金可能な年利最大7%の利息」が存在するため、資金増強の要素が全くないわけではありません。ボーナスのように手軽かつ最初にトレード資金を増やすことはできませんが、この利息制度を上手く活用すれば、ボーナス以上のリターンが見込める可能性はあります。
海外FX業者各社の口座開設ボーナスの比較やランキングは下記の記事にまとめています。
海外FX業者の入金ボーナスの比較は下記にまとめています。
海外FX業者各社のキャッシュバックや取引ボーナス、利息の比較については下記をどうぞ。
日本語サポート体制がやや不十分
日本人トレーダーが海外FX業者を利用するにあたり、スムーズに日本語で対応してもらえるかどうかは非常に重要なポイントになると思います。FXのような金融取引は自分自身の資産を預ける必要があるため、サポートの手厚さは必ず確認しておくべき項目と言えますね。
この点で言えば、IFCMarketsはそこまでサポート体制が充実しているとは言えません。フリーダイヤルによる電話サポート、メール・チャットによるサポートが24時間受けられる体制にはなっているものの、日本語での対応可能時間は、平日13時~21時30分に限定されています。電話が繋がらないことも多く、日本語の品質も高いレベルとは言えないため、複雑なトラブル対応やテクニカルサポートは受けにくい環境と言えるでしょう。
IFCMarketsの利用をおすすめする相性の良いトレーダー
利息を利用しやすい大口デイトレ・スイングトレーダー
IFCMarketsの最大の特徴である「年利最大7%の利息」。この利息を最大限活用するためには、やはり口座残高・月間取引量が多い必要があります。その点では、ある程度資金を投入できる大口のトレーダーの方が、IFCMarketsと相性が良いと言えますね。
7%の条件となる月間70ロットを超えるような、大ロット取引を行いやすいデイトレーダーやスイングトレーダーであれば、IFCMarketsを利用する価値は十分にあると思います。
幅広い選択肢から商品を選びたいトレーダー
IFCMarketsの他の特徴としては、600種を超える取扱商品数を誇ることが挙げられます。業者として取り揃える圧倒的な商品数に加えてさらに、NetTraderXを使った「合併商品」も売買可能であるため、既存の商品に囚われず、幅広い選択肢から商品を選びたいトレーダーにはおすすめの業者と言えるでしょう。
同一の取引プラットフォームで様々な商品を取引したいトレーダーや、独自の合併商品を作りたいトレーダーには利用をおすすすめします。
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まとめ
親会社(運営基盤)に対する高い信頼性や優れた注文システムなど、IFCMarketsには多くのメリットが存在します。ただスプレッドの広さやサポートの使いづらさなど、他の大手海外FX業者と比べるとそれほど優秀とは言えないスペックであることも事実でしょう。そういう意味では万人におすすめできるブローカーとはなかなか言いづらいですね。
とは言え、やはり「年利最大7%の利息」は、他の海外FX業者にはない圧倒的に優れた魅力。特に資金が豊富な大口トレーダーにとっては、これは見逃せないポイントですね。他にも優れたブローカーは多くありますので、メイン口座としてはなかなかおすすめしづらいですが、7%の条件である月間70ロット以上の取引をこなせるトレーダーであれば、サブ口座などに利用してみる価値は十分にあると思います。
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