MAM(マム)やPAMM(パム)と聞いて、FXの用語だとわかるトレーダーは意外と少ないかも知れません。それもそのはず、MAMやPAMMのサービスを行っている海外FX業者はごく少数で、しかも行っているFX業者であっても、公式サイト内でわかりやすくアピールはしていないからです。
FXで利益を出す方法は色々あり、ポピュラーなのは裁量トレードですね。しかし裁量トレードでは、相場分析から売買の判断までをすべて自力で行うため、技術を身につけるには多少なり時間がかかると言うデメリットがあります。
一方で、トレード方法自体に目を向ければ、非常にバラエティー豊富。EAなどのシステムトレードや、ソーシャルトレードやコピートレードのような、上手な誰かに任せるタイプの運用方法もありますね。MAMやPAMMも、そうしたトレード方法の1種になります。
本記事ではそんなMAMやPAMMと言うトレード方法について、わかりやすく解説したいと思います。
MAM/PAMMについて
まずは、MAM/PAMMがどのようなトレード方法なのかを、順を追って見ていきましょう。
MAM/PAMMの概要
MAMとPAMMはともに投資用語で、下記のようにそれぞれ英語の頭文字を取った略称になります。
- MAM:Multi Account Manager(マルチアカウントマネージャー)
- PAMM:Percentage Allocation Management Module(割合分割管理モジュール)
MAM/PAMMの基本的な仕組みは同じで、一般に「マネージドアカウント」と呼ばれるものの1種ですね。コピートレードやミラートレードのように、上手なトレーダーや優秀なシステムに売買を任せる運用方法の1種です。
資金を預けず、自分の口座内での運用となる
ファンドなどの投資機関と、MAM/PAMMの大きな違いとして、「ユーザーの資金がどこにあるか」と言うことが挙げられるでしょう。
MAM/PAMMのサービスを行っている海外FX業者では、通常のトレード口座とは別に、MAM/PAMM専用の口座を用意しています。ユーザーの「子口座」と、マネーマネージャーの「親口座」を紐づけることで、親口座のトレード結果を子口座に反映させるというわけですね。
資金は自分の口座内にある状態で、トレードの損益結果だけが反映されるため、資金を他者に預ける運用方法とは違い、万が一にも持ち逃げされる心配はないと言う安心感があります。
MAMとPAMMの違い
ユーザーにとってMAMとPAMMの大きな違いは、下記の通りマネーマネージャーがどこでエントリーして決済したかなど、トレード内容がユーザーに公開されているかどうかにあります。
- MAM:トレード内容が公開される
- PAMM:トレード内容は公開されない
また、ユーザーの資金の扱いについても、MAMとPAMMでは違いがありますね。
- MAM:マネーマネージャーが参加者の口座を一元管理する
- PAMM:マスター口座に参加者の資金が集まる
MAMはマネージャーに自分の資金を運用してもらう、PAMMはマネージャーの取引に出資をし、出資額に応じて収益を分配してもらうといったイメージです。プロトレーダーのトレード内容への興味や、自分の資金が正しく運用されているかを知りたい、と言う場合は、MAMがおすすめになりますね。成績が良ければトレード内容は気にしない、と言う場合は、PAMMも候補に入るでしょう。
資格を持つ人だけがマネーマネージャーになれる
他人の資金を運用する立場のマネーマネージャーは、誰にでもなれるわけではありません。投資顧問業等の資格はもちろんですが、FX業者によっては、これまでの運用実績を示さなければいけないとこともあります。
マネーマネージャーとしてFX業者から認められている時点で、資金を預ける親口座のトレーダーには、ある程度の技術が備わっていると考えられます。
EAを使った自動売買との違い
MAM/PAMMは、自分では売買せずに、成績が良いと判断した他者にトレードを委ねると言う点で、自動売買のカテゴリーに入っていると言えるでしょう。ここで自動売買と聞いてまず思い浮かぶのはEAを使った自動売買だと思いますが、EAとMAM/PAMMには下記のような違いが存在します。
EA | MAM/PAMM | |
信頼性 | EA自体は、素人の作った試作品から、プロも利用するようなものまで幅が広いため、数あるEAの中から勝てるものを判断すること自体にある程度の知識や技術が必要になる。 | そもそも資格と技術を持つトレーダーしかマネーマネージャーになれないため、サービスを提供するFX業者を見極めさえすれば、ある程度の利益が期待できる。 |
コスト | 基本的にはスプレッドや取引手数料のみ。(ただし、EA自体が有料の場合もある) また、自宅のPCでEAを走らせる場合は、PCを常時起動させ続けなければならず、電気代等が大きくなりがち。 | 利益が出た場合は、利益の数割がマネーマネージャーの報酬として必要。 |
資金管理 | 売買自体はEAが行うが、取引環境自体はすべて自分の管理下にあるため、取引の開始や停止を自由に行える。したがって、出金の制限等もない。 | ポジション保有中は出金できないなどのルールがある場合があり、資金は自分の口座内にあるとは言え、すべて自分の管理下にあるとは言えない。 |
信頼性ではやはりMAM/PAMMの方が圧倒的に高いと考えられますね。EAは多種多様なものが公開されており、その中から本当に成績が優秀なものを探すのは困難です。さらにプログラムであるEAは特定のロジックに沿ってしか動くことができず、急激な相場の変動や一瞬の判断力が必要な場面ではやはり弱いと言えるでしょう。
一方のMAM/PAMMはそれなりの技術を持つトレーダーが取引を行なっており、運用成績の良いマネージャーであれば利益もある程度は期待できます。とは言えコスト面や資金の自由度という意味ではEAの方が優れており、どちらも一長一短があると言えますね。
EAを使った自動売買の始め方やおすすめのFX業者、EA配布サイトなどは下記で紹介しています。
利益が出た場合は、報酬としての手数料が必要
MAM/PAMMでは取引で利益が出た場合、利益の15〜30%程度を手数料としてマネーマネージャーに支払う必要があります。反対に、損失となった場合は、手数料は不要となる場合が多いです。一般に、成績の良いほど手数料は高いと言われます。
MAM/PAMMのメリット
資金を手元に置いたまま運用を任せられる
MAM/PAMMは、海外FX業者の専用口座の中で資金を運用する方法です。資金はマネーマネージャーに預けることなく、自分の口座に置いたまま運用を任せられるので、投資詐欺のような形で資金を持ち逃げされるリスクは少ないと言って良いでしょう。
知識や経験が浅い人でも挑戦しやすい
資金を運用するマネーマネージャーには実績が備わっていると考えられるため、そもそも勝てるのかどうかを見極めないといけないEAなどとは違い、FXの知識や経験が浅い人でも利益を出しやすいと言えるでしょう。ただし、すべてのMAM/PAMMが利益を出せるとは限らないので、良いサービスを提供しているFX業者の選定が重要になります。
MAMの場合はトレード内容が見える
MAMの場合は、マネーマネージャーのトレード内容をユーザーは見ることができます。自分の資金でどのようなトレードがされているかを知りたいという人や、プロのトレード技術や手法を学びたいという人には、大きなメリットと言えますね。
手数料は利益の15〜30%のみ
MAM/PAMMを利用する上での費用となる手数料ですが、利益が出た場合に数%が差し引かれるのみです。損失となった場合の取引に対する手数料や、初期費用、仲介料、固定費などは基本的にはありません。
利益の数割が持っていかれるのは高い、と感じられるかも知れませんが、自動的に運用益が入りその他の手数料もないとなれば、マネーマネージャーへの報酬設定としては、納得できる範囲ではないでしょうか。
MAM/PAMMのデメリット
成績はマネーマネージャー任せになる
MAM/PAMMと言っても、必ず勝てるわけではありません。取引の内容、資金の増減は、各業者のマネーマネージャーの技術に依存します。
例えばEAなどであれば、ユーザーの裁量判断で成績改善のアプローチができますが、MAM/PAMMではそうした自由度は低いと言えます。同時に、マネーマネージャーへ運用を依存している状態では、ユーザーのトレーダーとしての判断技術の上達が見込みにくいことも、デメリットとして挙げられるでしょう。
口座開設に一手間かかる
海外FX業者の公式サイトの中に、「MAM口座の開設はこちら」のようなバナーを見たことがない、と言う方がほとんどではないかと思います。
MAM/PAMMの口座は、紹介制だったり、通常口座を開設したあとで会員ページからのみ開設可能だったりすることが多く、あまりオープンにされていません。どうしてもわからない場合は、FX業者のカスタマーサポートに問い合わせてみるのも1つの方法です。
自由に出金できるわけではない
MAM/PAMMでは、ポジションを保有中は出金できないと言うルールがある場合が多いです。もしマネーマネージャーがスキャルピングを休みなく行なっていた場合、その間に資金が減り続けていたとしても出金できない、と言う事態が起こりうる可能性がありますね。
MAM/PAMMの違法性について
自分の資金を他人に運用してもらう形のMAM/PAMMですが、まずMAM/PAMMの仕組み事態に違法性はありません。そのためMAM/PAMMを利用する側であれば、原則罪に問われることはないでしょう。
しかし現在の日本の法律では、金融庁に登録していない個人が、第三者の資産運用を行うことは違法とされています。つまり運営側やマネージャー側については、違法となる可能性もあり得るという訳ですね。
ただし海外FX業者は基本的に日本ではなく、海外の金融ライセンス化で運用されており、日本の法律で縛られることはありません。何らかの金融ライセンスの元で運営されているブローカーであれば、ある程度は信頼できると言えるでしょう。
MAM/PAMMが使える海外FX業者
最後に、実際にMAM/PAMMが使える海外FX業者を紹介したいと思います。MAM/PAMMの口座を提供しているFX業者はいくつかありますが、今回はその中から、人気の高いGemForex、FBS、HotForexの3社をピックアップしました。
GemForex
EA使い放題や、ミラートレード使い放題など、システムトレードにも強いGemForexですが、MAM口座の開設も可能です。しかし、MAM口座を開設しようと思ってリンクを探してみても、公式サイト内や会員ページ内にそれらしいものを見つけることはできません。
これはGemForexのMAM口座が、紹介制となっているためですね。開設する場合はすでにMAM/PAMMをしている知り合いに紹介してもらうか、SNSなどを通してMAM口座を開設しているトレーダーと知り合いになり紹介もらう、などが必要です。
ちなみにGemForexには、MAM/PAMMに似たミラートレードサービスが用意されていますが、こちらはシステムトレードでありEAを使った自動売買とほぼ変わりません。EAやシステム任せではなく人の手による運用を希望するのであれば、MAM口座の開設を検討しましょう。
GemForexのミラートレードの特徴や使い方は下記で詳しく解説しています。
GemForexのMAMM口座の詳細やミラートレードサービスとの違いなどは下記をご覧ください。
GemForexの全体的な評判や特徴、メリット・デメリットは下記に詳しくまとめています。
GemForexの具体的な口座開設手順は下記をご覧ください。
GemForexの公式サイトでMAM/PAMM口座の内容を確認
FBS
FBSではPAMM口座を提供しています。公式サイトにある取引口座カテゴリー内の「投資家用CopyTrade」が、PAMMに該当しますね。
利用方法は少し珍しいのですが、専用のモバイルアプリを使うことになります。FBSでアカウント作成後、アプリをダウンロードし、入金やコピートレード先を選べば運用を開始できます。
HotForex
HotForexも、MAM/PAMM口座が用意されていますが、こちらは開設方法が比較的わかりやすい海外FX業者ですね。公式サイト内の口座タイプの説明にも「PAMM」や「HFcopy(MAM)」がしっかり用意されています。
口座開設するには、公式サイトの口座タイプ一覧からPAMM/HFcopyを選択し、アカウントを作成しましょう。
HotForexの公式サイトでMAM/PAMM口座の内容を確認
まとめ
FXで利益を上げるにはいろいろな方法がありますが、その中でもMAMやPAMMは、実績を認められたトレーダーに運用を任せられると言う点で、初心者でも成果を出しやすいと言えるのではないでしょうか。興味のある人はこのページを参考に、ぜひMAM/PAMMの口座開設を検討してください。
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