cTraderは2011年にリリースされた次世代FX取引プラットフォームと言える存在。FX取引プラットフォームとして最もメジャーな存在でで不動の地位を占めていると言えるのはMT4ですが、このMT4にも劣らない数多くの機能を備え、知名度は低いものの、徐々に人気が高まっています。
MT4は、自動売買やオリジナルインジケーターなどによって人気を博す一方、他のプラットフォームには備わっている全決済注文やWindows以外のOSに対応しきれていないという問題もあります。cTraderではこれらが解消されており、スキャルピングトレーダーなどからは、MT4以上に使いやすいとかなり高評価を得ていますね。
そこでこの記事では、cTrader が備えている機能やメリット、デメリットに加え、提供している海外FX業者についても紹介していきたいと思います。
海外FXでスキャルピングをする際に重視すべきポイントやおすすめ業者は下記で詳しく解説しています。
cTraderの概要
cTraderはECN専用の取引プラットフォーム
cTraderはECN方式に特化して開発された取引プラットフォームであり、インターバンク市場に直接アクセスできるDMA(ダイレクトマーケットアクセス)を実現しています。ECN方式とはトレーダーの注文がそのまま電子取引所に直結し、他の投資家たちの注文とオークション形式でマッチングする仕組みのことですね。第三者の介入(FX業者)を全く受けない方法ですので、透明性(注文の流れがクリーンであること)が非常に高い注文方式といえるでしょう。
cTrader(ECN)では表示されるスプレッドは電子取引所そのままの数値ですので、非常に狭くなります。仲介業者であるFX業者はスプレッドで利益を得る代わりに、取引手数料を別に徴収して利益を確保するという形ですね。逆に手数料を取らずスプレッドがFX業者の利益となる方式はSTP方式と呼ばれます。
cTraderを使うということは、必然的に取引形態はECNとなりますので、利用しているFX業者の利益形態が正確に理解できますね。(AxioryのようにSTP口座でcTraderを利用できる業者も一部存在します。)それに加え、トレーダーの注文は電子取引所で処理されるため、公平な取引や非常に狭いスプレッド、約定スピードの速さに期待できるというメリットがあります。
STP方式とECN方式の違い、それぞれのメリットなどは下記の記事に詳細にまとめています。
cTraderとMT4との違い
2005年にリリースされたMT4は、その使いやすさから世界中で爆発的な人気となりました。取引プラットフォームといえばまずこのMT4を思い浮かべるトレーダーも多いのではないでしょうか。わずか数年で世界中の金融機関、投資家に利用されるようになりその利用者数は4000万人越え、10年以上が経過しても人気No.1の座を守っています。
一方のcTraderは、2011年にロンドンの金融会社(Spotware System社)によって開発されました。比較的新しい取引ツールであり、利用者数はまだまだ少ないものの、最新のグラフィックで操作性などが大きくアップしています。
cTraderとMT4は取引プラットフォームとしての能力や機能に大きな違いがありますが、主要な部分をまとめると以下の表のようになります。
<cTraderとMT4比較表>
項目 | cTrader | MT4 |
インターフェイス | ビジュアルがとてもきれいで、初心者の人でも直感的操作が可能 | 操作に慣れるまで時間がかかる人もいる |
約定拒否や取引制限 | 約定拒否や取引制限は一切なし (ECN方式取引プラットフォームのため) | 使用するFX業者によって異なる。 |
ワンクリック決済機能 | あり (ワンクリック決済の他にもドテン決済、通貨ペア別決済など多数の決済機能が備わっている) | なし (複数のポジションは1つずつ決済する必要がある) |
自動売買 | cAlgoと呼ばれるプログラム言語で作成可能。 日本語の解説書が存在しないため上級者向け | MQL4というプログラム言語を使用する。 解説書などが豊富にあるため、自由に作成可能 |
対応デバイス | ほとんどデバイスに対応している | 制限があり、主にWindows PC |
板情報 | 閲覧可能 | 不可 |
後ほど詳しく解説しますが、ワンクリック決済や板情報の閲覧、複数デバイスへの対応などは、cTraderならではのメリットと言えますね。
cTraderのメリット
約定スピードが早く約定拒否や取引制限が一切なく
cTraderの大きなメリットは、約定力が高く、約定拒否・取引制限が一切ないことでしょう。どれだけ大きいLotの注文を出しても、取引が活発に行われている時間帯であればマッチングできる注文が出た時点で約定されます。
そもそもcTraderが採用しているECN(DMA(ダイレクトマーケットアクセス 別名:Market Execution))には約定拒否という概念が存在しません。注文は電子取引所に集められ、全自動のオークション形式でマッチングされていくため、高速かつ公正な取引が可能になるというわけです。
どれだけ超高速の売買であったとしても、全く問題がないという点は特にスキャルピングトレーダーには嬉しいポイントですね。
ただし、オセアニア時間の朝方など薄商いの時間帯は、電子取引所に集まる注文量が大幅に減ってしまうため、あまりにも大きいLot数の注文は約定しにくくなりますので、この点は注意が必要です。
ワンクリック注文に対応
こちらもcTraderの大きなメリットと言えるワンクリック決済への対応。cTraderではデフォルトで下記の機能がワンクリックで注文できるようになっています。
- 成行注文
- ドテン注文(現在のポジションを決済すると同時に逆のポジションを建てる)
- ダブルアップ注文(現在のポジションと同量を発注)
- 全ポジションの一括決済(全てのポジションを一括でクローズ)
- 通貨ペア別ポジション一括決済(通貨ペア別にポジションを一括クローズ)
特に1秒単位を重視するスキャルピングトレーダーにとって、全ポジションの一括決済やドテン、ダブルアップがワンクリックで注文できるという点は非常に魅力的ではないでしょうか。
MT4でスキャルピング取引をしようとしても、直感的操作が難しくタイムラグがどうしても発生してしまいます。cTraderはスキャルピングトレーダーが必要とする注文の多くを、ワンクリックで済ませることができるようになっていますめ。
ポジションの複数決済や分割決済/建玉変更などに対応
MT4を使っているトレーダーの悩みの種の1つに、複数のポジションを一括で決済できないことがありました。ポジションを1つずつ順番に決済していくしかないため、意図しないレートでの決済になる可能性もあるわけですね。cTraderでは複数のポジションを同時に決済できるため、このような心配も不要です。
所有ポジションのうち、一部だけを決済したり、逆に増やしたりと建玉を変更することもできるため、市場の動向や現在の損益に合わせて、柔軟なポジション調整ができる機能も便利ですね。また、各ポジションの注文をチャート上から変更することもでき、抵抗線や支持線をビジュアルで確認しながら取引できることも魅力の1つです。
ほとんどのOSに対応している
cTraderは、WindowsPCはもちろん、macOSやスマートフォンなどの最新デバイスに対応しています。MT4の場合、Macユーザは仮想環境を立ち上げるなどWindows環境を作らなければなりませんでしたが、環境を問わずに使えるcTraderはであればその必要もありませんね。
cTraderのアプリも非常に使いやすく設計されており、どのデバイスで使っても快適に取引をすることが可能です。
板情報が閲覧できる
株取引の経験がある人にはなじみ深い板情報ですが、cTraderではこの板情報を閲覧することができます。板情報では世界中の大手投資家や銀行などの大きな注文がどの価格帯に集中しているのかということがわかりますし、市場の流動性や注文量を見ながら取引ができるというのは、個人投資家にとって非常に大きなメリットではないでしょうか。ロット数別の平均価格も表示されるため、大口取引でもスリッページの心配をする必要がなくなります。
MT4では、出来高などの表示はできるものの、価格に入っている注文量などを確認することはできません(国内FXのOANDA JAPANなど独自の板情報を提供している業者はあります)。cTraderは電子取引所(インターバンク市場)に直接アクセスしているECN方式専用の取引ツールのため、このようなことが板情報の閲覧が可能になっているわけですね。FXで板情報を見れるというのは非常に珍しく、まさにcTraderならではのメリットと言えます。
完全日本語対応
cTraderは日本語にしっかりと対応しています。それも機械翻訳をしたような不自然で違和感のある日本語ではないため、使っていてストレスを感じることもありませんね。直感的でわかりやすい操作画面もそうですが、このような優れたUI部分は、cTraderが使いやすいと感じさせてくれる重要な要素と言えます。
またMT4ではできなかったチャートの時間変更にも対応しており、もちろん日本時間に設定することもできます。MT4を使っていると頭の中で日本時間に変換している人も多いと思いますが、このような必要がない点も魅力のひとつですね。
cTraderのデメリット
自動売買やカスタムインジケーターの利用は上級者向け
MT4を使っているトレーダーの中には、自動売買ツールやカスタムインジケーターを使用している人も多いのではないでしょうか。EAを使った自動売買は人気が高く、裁量トレードと併用していたりサーバーを契約して24時間稼働の自動取引環境を作っているという人もいますね。
cTraderでも、cAlgoというプログラム言語を使って、自動売買プログラムであるcBotの作成ができるようになっています。しかし、2019年8月時点ではまだ日本語の解説ページなども非常に限られており、なかなか作るのが難しい状況と言えますね。MT4用のEAのように無料配布や販売されている数も少ないため、この点は流石に利用人数が多く実績も長いMT4に軍配が上がるでしょう。
cTraderを提供しているおすすめの海外FX業者
cTraderを提供する海外FX業者は非常に限られています。有名海外FX業者で提供しているのは、現時点(2019年8月)で以下の2社です。
Axiory
cTraderを提供している2社の中でも、FX初心者〜上級者まで幅広くおすすめできる海外FX業者がこのAxiory。信頼性・安全性が抜群に高いサービスを提供しており、取引環境も非常に優れています。日本語サポートはもちろん、資金の信託保全制度も保証しているため、安心して利用できる海外FX業者と言えるでしょう。
AxioryにはSTP方式のスタンダード口座と、ECN方式のなのスプレッド口座が存在しますが、そのうちナノスプレッド口座の取引コストは以下のような感じです。
通貨ペア | ナノスプレッド口座(ECN口座) |
USD/JPY | 1.1Pips(0.5Pips) |
EUR/USD | 0.8Pips(0.2Pips) |
GBP/USD | 1.0Pips(0.4Pips) |
EUR/JPY | 1.2Pips(0.6Pips) |
やはりナノスプレッド口座は業界でもトップクラスに狭いスプレッドが提供されていますね。ボーナスや各種キャンペーンなどはほとんど行っていませんが、取引環境にこだわりたいという人、スキャルピングメインで取引コストが安く透明性の高い取引を求めている人には、非常におすすめです。
2018年に海外FX利用者の多くが資金移動などに使っているbitwalletとの提携中止が発表され、話題となりましたが、新しく国内銀行送金サービスCurfexの提供を2019年3月に開始しました。2019年8月には登録システムのアップデートなどもおこなわれ、入出金の面でもストレスなく利用することができるようになっています。
cTraderを提供しているAxioryの評判や特徴、メリット・デメリットについては下記の記事で詳しく解説しています。
Axioryの実際の口座開設手順や口座タイプの違いについては下記にまとめていますので、口座開設を検討している人は参考にしてください。
国内銀行送金のメリットや対応海外FX業者については下記のに詳しくまとめています。
Tradeview
同じくcTraderを提供しているTradeviewですが、元々は上級トレーダーや法人など大口顧客向けに口座を提供していた会社ということで、どちらかと言えば中・上級者向けにおすすめの海外FX業者です。初回入金額が10万円からと比較的高く、また管理画面などもあまり優しい作りにはなっていないため、若干の慣れが必要になりますね。
しかしながら、取引コストは海外FX業者の中で圧倒的に安く、この点はTradeview最大のメリットと言えるでしょう。cTrader口座のスプレッドは他業者と比較して群を抜いて低い上、往復取引手数料も5ドル/10万通貨=0.5Pipsと、かなり安いです。
通貨ペア | cTrader口座(cTrader専用・ECN方式) |
USD/JPY | 0.6Pips(0.1Pips) |
EUR/USD | 0.7Pips(0.2Pips) |
GBP/USD | 1.0Pips(0.5Pips) |
EUR/JPY | 0.9Pips(0.9Pips) |
スプレッドが広がりがちな海外FX業者でありながら、ほとんど国内FXと変わらないレベルで狭いですね。特に欧州通貨に関しては、国内FXよりも低スプレッドになっています。
ロスカット水準が100%とやや高く、レバレッジも200倍(申請により400倍に変更可)とデメリットも存在しますが、取引コストの安さを重視する場合は非常におすすめの海外FX業者です。
圧倒的に取引コストが安いTradeviewの評判や特徴、メリット・デメリットは下記の記事にまとめています。
まとめ
cTraderは裁量トレードがメインのトレーダーであれば、魅力的な要素がたくさんある取引ツールです。特にワンクリックでの注文やダブルアップ、全ポジションの一括決済機能などは、スキャルピングトレーダーにとって必見と言えるのではないでしょうか。
現在課題となっている自動売買についても、情報が増えていくにつれて今後使いやすくなっていくことでしょう。提供されている海外FX業者はまだ限られているものの、cTraderのメリットに魅力を感じたトレーダーは、ぜひ利用を検討してみてください。
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