FXトレードでは、ポジションを保有しているだけで利益または損失が発生する「スワップポイント」という存在があります。このスワップポイントによる利益を狙って、例えば超高金利のトルコリラを保有するトレーダーも多くいますね。
スワップポイントは、各通貨の安全性や通貨発行国の金利、ブローカーとなるFX業者によって異なります。そして、金利差のある通貨をポジションしているだけで、利益になることもあれば損失になることもあるため、スワップポイント狙いのトレーダーだけでなく、為替差益を狙っているトレーダーも、スワップポイントが有利な業者の知識を持っておいた方が良いと言えるでしょう。
本記事では、スワップポイントの概要とメリットについての簡単な説明に加え、主要な海外FX業者のスワップポイントを比較、スワップポイントで利益を狙うのにおすすめの業者を紹介していきたいと思います。
スワップポイントにはメリット・デメリットがあり、デイトレやスイングトレードの場合は、逆にスワップフリー口座を利用したほうが取引が有利に働く場合もあります。スワップフリー口座は基本的にはイスラム圏のユーザ向けに用意されていますが、イスラム圏外のユーザーが利用できる海外FX業者も存在しますので、スワップポイントが負担に感じるトレーダーはそれらの業者の利用も検討するようにしましょう。
スワップフリー口座の詳細は下記に詳しくまとめています。
スワップポイントとは
スワップポイントとは、取引通貨ペア間の金利差調整のこと。FX為替取引では、金利の異なる2国間の通貨をトレードすることになりますが、各通貨はその通貨の安全性や発行国の財政状態等、さまざまな経済的要因により、その金利は異なります。その金利差を埋めるための調整がスワップポイントというわけですね。
スワップポイントは、日にちをまたいでポジションを保有し続けると加算される仕組みとなっており、ロングでもショートでも、どちらの場合でも発生します。基本的には金利が高いほどリスクの高い危険な通貨ということになるため、金利の低い安全な通貨を売って金利の高い危険な通貨を買う場合はプラスのスワップが、その反対に、高金利の通貨を売って低金利の通貨を買う場合にはマイナスのスワップが発生するということですね。これはつまりリスクに応じた報酬と考えることもできます。
ただし、スワップポイントは単純に通貨間の金利差だけが反映されているわけではなく、FX業者によってそれぞれ異なる設定をしています。スワップポイント狙いのトレードをする場合は、各業者のスワップポイントがどのように設定されているかを個別に確認するようにしましょう。
スワップポイントのメリット
スワップポイントのメリットは、なんといってもポジションを持っているだけで利益が獲得できることですね。
通常の通貨ペア取引では、通貨の価値の上がり下がりの差、つまり為替差を利用して利益獲得を狙います。そのため、常に為替の変動を注視していなければなりません。
一方、スワップポイントは、日を跨いでポジションを保有しているだけで、通貨間の金利差分をポイントとして受け取ることができます。持っているだけで利益が発生するということで、「不労所得」に近いイメージの利益と言えるかもしれませんね。
もちろん、為替同様、各通貨の金利やFX業者が設定するスワップポイントも変化するため、まったく何もせずに稼げるというわけではありません。しかし通常のFXのように常にチャートを見続ける必要はなく、完全な不労所得とは言わないまでも、少ない労力で利益を生み出すことができる方法と言えるでしょう。
スワップポイントの注意点
上で説明したように、スワップポイントには保有しているだけで利益を受け取れるというメリットがあります。しかし、いくつか注意しなければないこともありますので、その点は気を付けながら取引するようにしましょう。
スワップポイントは変動する
スワップポイントは固定ではなく変動します。通貨の金利が変動すれば、当然のことながらそれに伴いスワップポイントも変動するということですね。
また、金利が変わらなかったとしても、FX業者がスワップポイントの設定を変更すれば、スワップポイントは変動します。スワップポイントが想定していた値から大きく変わっていないかどうかは、定期的に確認するようにしましょう。
スワップポイントのみの出金は不可
スワップポイントはポジションを持っているだけで付与されますが、獲得したポイントを証拠金に反映させるためにはポジションを決済しなければなりません。つまり獲得したスワップポイントだけを、出金することはできないということですね。保有しているポジションを決済してはじめて、スワップポイントを利益とすることができます。
高スワップポイント通貨ペアはハイリスク
冒頭にも説明したように、スワップポイントをたくさん受け取れる通貨は、それだけ金利が高い=リスクの高い通貨と言えます。そのため高スワップポイント通貨には、予期せぬ急騰・急落が発生する、通貨ペアとしてスプレッドが広い、レバレッジ制限が掛けられている等のリスクがあることを理解しておきましょう。
強制ロスカットのリスクは高め
海外FXには、レバレッジの高さやロスカット水準の低さで国内FXよりはロスカットが発生しにくいという特徴がありますが、全く起きないわけではありません。特にスワップポイント狙いの場合、高金利高リスク通貨を狙って大量保有することが多いため、相場変動の影響を非常に受けやすく、強制ロスカットが発生しやすい状況と言えるでしょう。
スワップポイントでいくら利益を獲得していても、ロスカットによって為替差損が出てしまっては意味がありませんね。ロスカットされないように上手く運用する必要があります。
スワップポイントの反映時間は要確認
スワップポイントは、ロールオーバー(保有しているポジションが日付を跨ぐこと)したポジションだけに付与されます。このロールオーバーのタイミングは海外FX業者によって異なるため、もらい損ねを防ぐためにも必ず個別に確認しておくようにしましょう。サマータイムを適用している業者では、サマータイム時と通常時でもロールオーバータイミングは異なるため、こちらも併せて確認しておく必要がありますね。
また、スワップポイントは、市場が閉じている土日には付与されません。しかし、土日の間にも金利自体は発生しているため、土日の2日分のスワップポイントは、平日のどこかの曜日で付与されることとなっています。これも業者によって異なるため、しっかり把握しておくようにしましょう。
スワップポイントの対象外の銘柄もある
業者によって、スワップポイントの対象となる銘柄が決められています。対象外の銘柄でロールオーバーしても、当然スワップポイントは付与されませんので気を付けましょう。
アービトラージを活用すればローリスクでスワップを獲得可能
アービトラージとは、いわゆる「サヤ取り」「裁定取引」とも呼ばれる手法のことで、一つの通貨ペアに対してロングポジションとショートポジションを同時に保有する両建て取引を指します。スワップポイント狙いの取引では、このアービトラージを活用することで、為替変動リスクを抑えたうえでの利益獲得が可能となります。
アービトラージを行えば、取引最中の為替の値動きが相殺されるため、為替変動による損益は発生しません。つまり為替変動の影響を一切気にすることなく、スワップポイントだけを常に受け取れる状態にできるということですね。
ただし、アービトラージを活用する際は、スワップポイントがトータルでプラスになるような通貨ペアまたは業者を選ぶ必要があります。例えば以下のようなパターンを見てみましょう。
【ある通貨ペアA・Bに対する業者(ア)(イ)のスワップポイント】
ポジション | 業者(ア) | 業者(イ) | |
通貨A | 買いポジション | 1.50 | 1.50 |
売りポジション | -1.00 | -2.00 | |
通貨B | 買いポジション | 1.00 | 2.50 |
売りポジション | -2.00 | -3.00 |
通貨ペアAの場合、業者(ア)では買いポジションを取ると1.50、売りポジションでは-1.00となります。そのため、両建てでポジションを取ることで、為替変動リスクを除外したうえでトータル0.5ポイントのスワップポイントを獲得することができます。
しかし、業者(イ)では、買いポジションで1.50、売りポジションで-2.00となるため、両建てしてもトータルで-0.5ポイントとなり、スワップポイントを支払う必要が出てしまいます。これでは両建てによるアービトラージをする意味はありませんね。
通貨Bの場合はどうでしょうか。この場合、業者A・Bそれぞれ単独で両建てを行っても、トータルでスワップポイントはマイナスになってしまいます。しかし、Aで売りポジション、Bで買いポジションと異業者間の両建てを行えば、為替リスクを排除したうえで、2.50-2.00=0.5のスワップポイントを獲得することができます。
このように通貨ペアAにおける業者(ア)での口座内両建てや、通貨ペアBにおける業者(ア)と(イ)を跨いだ業者間両建てが、アービトラージによるリスクを抑えたスワップ獲得手法と言えます。
ただし、FX業者によっては、アービトラージを認めていない業者も存在します。下記の表のように、特に異なる業者間での両建ては認められているFX業者が少ないのが現状ですね。
※△:ゼロカット制度による利益狙いは不可
このようにFX業者によってその対応はまちまちですので、両建てによるアービトラージをする場合は、その可否を確認しておく必要があります。
海外FXにおける両建てについては下記に詳しくまとめています。
主要海外FX業者のスワップポイントを比較
主要な海外FX業者各社のスタンダード口座における、1ロット(10万通貨)あたりのスワップポイントを、円換算したものをまとめると、以下の表のようになります。
ポジション | XM | GemForex | FBS | HotForex | TitanFX | LandFX | Axiory | Tradeview | iFOREX | |
米ドル/円 USD/JPY | 買い | -165 | 21 | -111 | 100 | 266 | 2.30 | -241 | 262 | 27 |
売り | -425 | 29 | -601 | -860 | -885 | -1,020 | -382 | -876 | -474 | |
ユーロ/円 EUR/JPY | 買い | -386 | -150 | -480 | -450 | -347 | -46 | -361 | -362 | -271 |
売り | -256 | -120 | -291 | -200 | -172 | -64 | -156 | -138 | -213 | |
ポンド/円 GBP/JPY | 買い | -232 | 14 | -612 | -660 | -668 | -28 | -364 | -99 | -32 |
売り | -502 | -378 | -297 | -190 | -163 | -98 | -575 | -807 | -524 | |
ユーロ/米ドル EUR/USD | 買い | -515 | 27 | -718 | -1,020 | -859 | -138 | -6 | -953 | -913 |
売り | -118 | 27 | -26 | -54 | 373 | -28 | -495 | 472 | 312 | |
ポンド/米ドル GBP/USD | 買い | -384 | -204 | -906 | -709 | -717 | -126 | -551 | -821 | -694 |
売り | -341 | -483 | -103 | -204 | -175 | 2 | -369 | -62 | -565 | |
ユーロ/ポンド EUR/GBP | 買い | -513 | -485 | -374 | -666 | -638 | -81 | -546 | -755 | -485 |
売り | -127 | -59 | -294 | -67 | -139 | -25 | 133 | -4 | 1 | |
トルコリラ/円 TRY/JPY | 買い | ー | ー | ー | -400 | ー | ー | 8 | ー | 196 |
売り | ー | ー | ー | 0 | ー | ー | 202 | ー | -709 | |
米ドル/トルコリラ USD/TRY | 買い | -2,105 | -2,248 | -650 | ー | -2,211 | -1,254 | -1,041 | -1,116 | -5,272 |
売り | -828 | 474 | 15 | ー | 1,240 | 595 | 24 | -39 | 1,720 | |
ユーロ/トルコリラEUR/TRY | 買い | -4,417 | ー | -693 | ー | -3,662 | -1,769 | -1,503 | -1,969 | -6,005 |
売り | 1,259 | ー | 23 | ー | 2,092 | 964 | -245 | 1,026 | 2,126 | |
南アランド/円 ZAR/JPY | 買い | ー | -230 | ー | 100 | 103 | ー | 63 | ー | 37 |
売り | ー | -230 | ー | -300 | -182 | ー | -107 | ー | -97 | |
米ドル/南アランド USD/ZAR | 買い | -1,813 | -38 | -108 | -2,264 | -1,682 | -810 | -1,208 | -1,699 | -3,127 |
売り | 209 | 6 | 56 | 453 | 924 | 257 | 381 | 957 | -369 | |
ユーロ/南アランド EUR/ZAR | 買い | -2,184 | -2,635 | ー | -2,717 | -2,479 | -1,282 | -1,423 | ー | -2,397 |
売り | 440 | 608 | ー | -3,447 | 1,603 | 592 | 524 | ー | 1,192 |
どの業者でも、通貨ペアによってスワップポイントが大きく異なっていることが分かります。また、同じ通貨ペアでも、業者によってスワップポイントの金額に大きな差がありますが、これは業者ごとのスワップポイント設定に差があるためですね。
このようにスワップポイントは条件によりまちまちですので、スワップによる利益を狙う場合は、各通貨・各業者のポイントの大きさをしっかり比較比較することが重要です。
スワップポイント狙いの取引におすすめの海外FX業者
XM
海外FX業者の最大手でもあるXMですが、EUR/TRYの売りポジションで、高額のスワップポイントを受け取れる点が特徴ですね。現時点のEUR/TRY売りスワップポイントは1,259円となっており、iForex、TitanFXにつぐ3番目に高いスワップポイントを獲得できます。
ちなみにEUR/TRYは、スワップポイントの変動が大きい通貨ペアの一つであり、タイミング次第ではもっと大きなスワップポイントが付与されることも。過去には、5,000円を超えるポイントが一晩でつくような設定の時もありましたね。
EUR/TRYでのスワップポイント狙いの取引であれば、タイミングを見計らってXMで取引してみてはいかがでしょうか。ただし、XMでは同じ口座内での両建てしか認められていないため、他口座または他業者とのアービトラージは狙えない点に注意しましょう。
XMの全体的な評判や特徴、メリット・デメリットは下記に詳しくまとめています。
GemForex
GemForexにおけるスワップポイントの最大の特徴とも言えるのが、USD/JPYやEUR/USDといった売り買いどちらのポジションをとっても、スワップポイントがプラスになる通貨ペアがあることですね。GemForexは口座内両建てを認めているため、このような通貨ペアをアービトラージすることで、常にスワップによる利益を出し続けることができる点は、かなり大きなメリットと言えるでしょう。
例えばUSD/JPYのアービトラージであれば、買いポジションで29円、売りポジションで21円のスワップポイントを受け取れます。為替リスクを排除しつつ、確実に1ロットあたり50円の利益が出るという点は、GemForexならではのメリットですね。
ただし、基本的に両ポジションでプラススワップになるのは低リスク通貨同士の取引であり、そのため全体的にスワップポイントが大きいわけではありません。もちろんロット数が大きくなればその分利益も増えますが、どちらかと言えば確実にコツコツ利益を積み上げたい人に向いていると言えるでしょう。
TitanFX
ハイスペックな取引環境で特にスキャルパーから人気が高いTitanFXですが、スワップポイントが全体的に高めに設定されていることが特徴と言えるでしょう。
特に、トルコリラや南アランド等のエキゾチック通貨(マイナー通貨)が絡む通貨ペアのスワップポイントが大きい点は非常に魅力的ですね。USD/TRYとEUR/TRYの売りポジションでは、iForexにつぐ2番目の高さを、USD/ZARやEUR/ZARの売りポジションでは、業界トップのスワップポイントが付与されます。
さらにTitanFXでは、口座・業者を跨ぐアービトラージが認められている(ゼロカット狙いの両建ては禁止)いる点もメリットの一つではないでしょうか。TitanFXでプラスの大きな通貨ペアをポジションし、スワップポイントが小さい業者の同じ通貨ペアの逆ポジションを取ることができれば、為替変動を気にせず、スワップポイントの利益を膨らませることができます。
TitanFXの全体的な評判や特徴、メリット・デメリットは下記に詳しくまとめています。
iForex
iForex最大の特徴は、エキゾチック系の通貨ペア(マイナー通貨ペア)における圧倒的なスワップポイントの高さ。トルコリラや南アランド絡みの通貨ペアの売りポジションのスワップポイントは、業界随一ですね。大きなスワップポイントを狙った高リスク通貨ペア取引をする上では、候補業者筆頭と言っても過言ではないでしょう。
さらに、iForexは証拠金維持率が0%と、資金が尽きるギリギリまでポジションを保有し続けることができ、その点でもスワップポイント狙いの取引に向いていると言えます。また、ポジションを一つでも持っていると、口座残高に対して年利3%の利息が毎月付与されるという珍しいボーナス制度もあるため、スワップポイント狙いでポジションを持ってるだけでプラスαの利益獲得も狙えるというメリットもありますね。
注意点としては、同口座内以外の両建ては禁止されているため、アービトラージの活用がしにくい点が上げられますが、スワップポイントの大きさと利息キャッシュバックの魅力を考えると、取引しない手はない業者と言えます。
iForexの全体的な評判や特徴、メリット・デメリットは下記に詳しくまとめています。
まとめ
スワップポイント狙いの取引は、ある意味不労所得に近い収益ということで、非常に魅力的な手法と言えるでしょう。もちろんリスクや注意点がいくつかあるものの、両建てによるアービトラージなどでそのリスクを低減させることができますし、十分に試す価値がある取引と言えますね。
ただFX業者によってスワップポイントは大きく異なりますし、付与タイミング、両建てへの対応も業者ごとにまちまちです。そのためスワップ狙いで業者を選定する際は、それぞれのスワップポイントの大きさやアービトラージ可否を比較し、利益を獲得できるチャンスの大きい業者を選ぶようにしましょう。
スワップポイントの高さを含め、複数のポイントに着目した海外FX業者の総合ランキングは下記の記事をどうぞ。
スキャルピングやデイトレ、スイングなどのトレードスタイル別のおすすめ業者は下記にまとめています。
元手資金額に応じて海外FX業者を使い分ける理由や資金別おすすめ業者は下記をご覧ください。
コメント