FXの取引プラットフォームとしてMT4とMT5(MTはメタ・トレーダーの頭文字)が有名ですが、どちらを使えばいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。どちらも、ロシアのメタクォーツ社が開発したFX取引に使う「高性能プラットフォーム」で、海外FXをしている人ならほぼ全ての人が使っていると言っても過言ではないツールですね。
MT4のリリースは2005年ですが、わずか数年で750社以上の金融機関が採用するなど人気が向上し、現在でも多くの投資家に根強い人気があります。一方のMT5は、MT4の後継取引ツールとして2011年にリリースされ、最近は頻繁にアップデートされています。
そこで今回は、そんなMT4とMT5の特徴や違いについて詳しく解説し、それぞれのおすすめトレーダーについてもまとめていきたいと思います。
MT4とMT5の比較
MT4は2005年、MT5は2011年にそれぞれリリースされました。開発元は同じですが、性能や様相など変更になっている部分が複数存在します。まずはそれぞれのプラットフォームを比較していきたいと思います。
MT4とMT5の比較表
MT4とMT5の違いを比較表でまとめたものが下記になります。
項目 | MT4 | MT5 |
スピード | MT5と比べるとやや遅い | 動作が早く感じられる |
時間足の種類 | 9種類 | 21種類 |
アップデート回数 (2018年~2019年1月) | 3回 (回数が少なく、メタクォーツ社はMT5の普及に力を入れている) | 6回 (2017年から断続的にアップデートされている) |
対応業者 | 海外業者はほぼ対応 | 一部大手海外FX業者 |
カスタムインディケーターの数 | とても豊富 | だんだん増えている |
基本インディケーター | デフォルト30種類 | デフォルト38種類 |
描画ツール (トレンドラインなど) | 31種類 | 44種類 |
EAの数 | とても豊富 | かなり少ない |
プログラム言語 | MQL4 | MQL5 |
仮想通貨 | 非対応 | 対応 |
MT5は、MT4の進化版であり、機能としても劣っている部分はほとんど見当たりません。また、MT4よりもメモリを消費するとはいえ、近年のPCの性能を考えれば影響は心配しなくてもよい程度と言えるのではないでしょうか。
MT5では新たな機能として、2017年ごろに爆発的な人気を誇った仮想通貨の取引が可能です。また、先物・債券・株式などにも対応するなどアップデートされるたびに機能が増強されていますね。
MT4とMT5の機能的な違いについて、さらに詳細に比較していきたいと思います。
表示時間足の種類
MT4とMT5の主な違いの一つに「表示時間足」があります。MT5ではMT4から12種類も追加され、計21種類の時間足を表示することが可能となりました。
これによりデイトレーダーや短期トレーダーは、MT5を使った方がチャートをより緻密に分析できるようになりますね。主な表示時間足の詳細は、以下のとおりです。
図1:MT5の表示時間足
1分足、2分足、3分足、5分足、6分足、10分足、12分足、15分足、20分足、30分足、1時間足、2時間足、3時間足、4時間足、6時間足、8時間足、12時間足、日足、週足、月足 |
MT5では、さらにん表示時間足を自由にカスタマイズする機能も備わっています。使い方はツールバーの時間足を選択しながら、右クリック>カスタマイズを選択。すると、以下の画面が出てきます。ここで自由にツールバーに表示する時間足の選択が可能です。
あまり使わない不要な時間足を非表示にしておけば、ツールバーを整理することもできますね。
一方MT4の表示時間足9種類で以下のようになっています。
図2:MT4の表示時間足
1分足、5分足、15分足、30分足、1時間足、4時間足、日足、週足、月足 |
表示時間足が増えると、独自の戦略の幅が増えると考えるトレーダーもいますね。スキャルピングを得意とするトレーダーの中には、3分足を表示している人も多いようです。また、スイングトレードをするトレーダーにとっては、12時間足などが表示できることはメリットでしょう。
このように時間足が増えたことで、より取引が有利になると考えるトレーダーには、MT5がおすすめです。
気配値ウィンドウ
気配値ウィンドウもMT4とMT5の大きな違いのひとつですね。MT5では大幅にアップデートされ、各銘柄の情報がとても見やすくなっています。MT4では、他の銘柄のレートパネルを同じ画面上で表示することはできませんでしたが、MT5では簡単に他の銘柄の高値・安値・スプレッド・スワップ・価格レートを確認できます。
図3:MT5の気配値ウィンドウ
新たに追加された機能として、気配値ウィンドウに、「プライスボード」タブが追加されました。この画面のおかげで、それぞれの通貨の情報を直感的に把握ができるようになりましたね。
日本国内のFX会社でも多く採用されている「レートパネル」と同じ形式で、高値・安値・スプレッド・スワップなどを一画面で把握できます。MT5を全く使った経験がない方でも、すぐに情報を把握できることは大きなメリットではないでしょうか。
MT4の気配値ウィンドウは以下のようになっています。
図4:MT4の気配値ウィンドウ
MT4でも、高値・安値・スプレッドなどを表示することは可能ですが、MT5よりも簡素で、使いにくいという印象を受けます。気配値ウィンドウの見やすさに関しては、MT5の方が優れているでしょう。
ナビゲーターウィンドウ
ナビゲーターウィンドウは、各種テクニカルツールやカスタムツール、自動売買ツールの選択をする際に利用します。以下がそれぞれのナビゲーターウィンドウの画面ですね。
図5:MT5のナビゲーターウィンドウ
図6:MT4のナビゲーターウィンドウ
インディケーターの部分が整理されており、MT5のほうが見やすくなるように改良されています。MT4のナビゲーターウィンドウでは、縦に長くなっており、若干見にくい印象を受けますね。
カスタムインディケーター・EAについて
2019年現在でも、開発されているカスタムインディケーター・EAなどは、MT4を対象にしており、MT4用の方が圧倒的に多い状況です。また、MT4のインディケーター・EAのプログラム言語は“MQL4”、MT5のプログラム言語は”MQL5 “となっており、プログラム言語が異なります。そのためMT4で使用しているカスタムインディケーターをそのままMT5で使用することはできず、MT5で使用するには、プログラムをMQL5で書き直す必要があります。
こうしたことが理由で、システムトレーダーやテクニカルトレーダーはMT5へ移行することを躊躇している状況と言えますね。一方、裁量トレーダーや基本的なツールしか使用しないトレーダーにとっては、さほどデメリットとはならないでしょう。標準で備わっているテクニカルツールは、MT5の方が多く、基本的なテクニカルであれば不自由しないでしょう。これからFXを始めようとする人で、特にこだわりがなければMT5でFXを始めるのも選択肢の一つといえます。
各対応業者について
対応業者についてもインディケーター・EAと同様、MT5を採用している会社が非常に少ないのが現状です。これがMT5が普及しない最も大きな理由と考えられますね。
日本国内ではMT5を採用しているFX会社は残念ながらありません。主要海外FX業者の中でも、今の所XMとFBSだけという状況ですね。
XM(XMTrading)
XM(XM Trading)は海外FXを代表する超メジャー業者。
最大888倍という驚異のレバレッジに、追証なしのゼロカットシステム、
手厚い豊富なボーナス、ロスカット水準の低さ、日本語サポートなどで、
圧倒的な人気を誇っています。
日本人の口座開設数も断トツで1位のNo.1海外FX業者です。
XM(XM Trading)の評判やメリットはこちらにまとめてあります。
FBS
3000倍という圧倒的に高いレバレッジを誇るFBS。
豊富なボーナスキャンペーンにキャッシュバック制度
などで人気がある業者ですね。
口座の種類も多く、使い分けがしやすいです。
FBSの評判やメリットはこちらにまとめてあります。
この辺りを考えると、MT5がMT4の後継ツールとして普及していくことは間違いありませんが、まだ時間がかかりそうです。
メタクォーツ社のアップデート回数について
メタクォーツ社が普及に力を入れているMT5は、頻繁にアップデートされています。一方、MT4は、2018年も3回のみのアップデートとなっており頻度が少なめです。
MT4は将来的にサポートがすべて終了し、アップデートが全く行われなくなる日が来るかもしれませんね。しかし、そうなる前にもっと多くのブローカーに対して、MT5の導入を促すことがメタクォーツ社の課題となっています。
MT4が今でも世界中で人気が高い理由とMT5が広まらない理由
MT4が2005年にリリースされた当時、優れたカスタマイズ性と自動売買プログラムの作成ができるFXプラットフォームとして爆発的な人気を誇りました。そのため多くのカスタムインディケーター・EAが世の中に広まることになり、それらと互換性がないMT5が2011年にリリースされても、なかなか普及が進まないというのが今の状況ですね。
長年愛用しているテクニカル分析、EAなどをこれまでどおり使えなくなってしまうことを懸念して、移行を躊躇している人が多く存在します。
また前述の通り、対応しているブローカーが非常に少ない点も、なかなかMT5が広まらない理由のひとつではないでしょうか。対応していないことには使うこともできませんし、MT4の方が利用者が多い分、やはり使い方などをネットで調べる際にもMT4の情報の方が圧倒的に多くなります。
しかし多くの機能改善がはかられ、アップデートの回数からも分かるとおり、メタクォーツ社としては、MT5をもっと普及させたいという思惑があるはずです。そのため、MT5はFXのプラットフォームとしてMT4に代わって徐々に普及していくと考えられます。
MT5のメリットとおすすめトレーダー
なかなか普及が進まないMT5ですが、前述の通りたくさんのメリットも存在します。そのメリットとどのようなトレーダーにおすすめできるかを、ここでは解説していきたいと思います。
動作が軽快で気配値・ナビゲーターウィンドウも改善
MT5はMT4に比べてメモリ消費量がやや多いものの、その分動作がかなり軽快になっています。MT4は2005年にリリースされたソフトということもあって、その動作はとても快適とは言えないもので、ストレスに感じている人も多いのではないでしょうか。
また気配値ウィンドウでは、プライスボードタブが追加されており、他の銘柄の情報が把握しやすくなっていますね。日本のFX会社でも採用されているレートパネルと形式が似ており、MT5に慣れていない人も比較的なじみやすいでしょう。
また、ナビゲーターウィンドウも改良されており煩雑だった画面がすっきりして各種ファイルが整理されています。
操作性が高くサクサクと動くMT5は、MT4と比べてストレスなく操作することができますね。裁量トレードメインでMT4を操作する時間が長い人や、超短期間で決済するスキャルピングトレーダーには、軽快に動くMT5の利用がおすすめと言えます。
表示時間足の種類増加
MT5の大きな特徴として、「時間足種類の大幅な増加」がありますね。MT4よりもさらに詳細な時間足を表示できるようになりました。
これは特にチャート分析が中心のトレーダーは非常に重宝する部分ではないでしょうか。また短期トレーダーや・スキャルピングトレーダーにとっては、分析する時間足の種類が増え、さらに取引の幅が広がりますね。
株式などの板情報にも対応
MT5では、MT4では確認できなかった「板情報」の確認ができます。株式・先物などでは板情報が重視されており、それらを参考に投資戦略を練ることができます。
※デモ口座の表示のため、ここには板情報が掲載されていません。
板情報がトレードの参考になるという人には、これもMT5のメリットのひとつになり得ますね。
まとめ
ここまでMT4とMT5の違いについて解説してきました。やはりリリースからの年数や利用者の数、対応会社を考えると、取引環境としては現時点ではMT4に軍配が上がりますね。しかし機能としてはMT5のほうが優れており、今後MT5の利用者も徐々に増加していくでしょう。
システムトレーダーやカスタムインディケーターを積極的に使いたいと思っている人は、やはりまだまだ主流のMT4がおすすめです。一方、裁量トレーダーで基本的なインディケーターしか使わない、スキャルピング取引でシステムの軽快さが重要という人は、MT5を試しに一度使ってはいかがでしょうか。
今回の情報を参考に、自分の取引スタイルなどに合わせて、ぜひ最適なプラットフォームを選択してください。
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