FXは株式などとは異なり比較的高いレバレッジで取引が可能なため、小額からでも始められる投資対象として非常に高い人気を誇っています。そんなFX取引を始めるにはFX業者を選ぶ必要がありますが、その時に大きな選択肢となるのが、「国内FX業者」と「海外FX業者」のどちらを選ぶかということでしょう。
一般的な日本人トレーダーにとっては国内FXが有力な選択肢となりますが、中には海外FX特有の追証なしのゼロカットシステムや、国内FX以上に高いレバレッジなどに魅力を感じ、海外FX業者を選ぶという人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では海外FXに興味を持っている人のために、あえて海外FXの危険性やリスク、デメリットについて分かりやすく解説。その上で海外FXのメリットについても触れ、どのような人が海外FXを選ぶべきかということや、海外FXの最適な利用方法などを説明していきたいと思います。
海外FXのリスク、デメリット
海外FXを選ぶ上であらかじめ把握しておきたいのがリスクや危険性です。まずは、海外FXのデメリットや国内FXと比べて不利な面について確認していきたいと思います。
日本の金融庁には登録していない
海外FXのデメリットとして最初に挙げられるのが、日本の金融庁には登録をしていないということでしょう。
本来FX業者が日本で金融商品取引業を行うには、日本の金融庁に登録して認可を得なければいけません。しかし、海外FXの特徴的なサービス(ゼロカットや高い口座レバレッジなど)は日本の法律で認められていないため、このようなサービスを実施する場合、日本の金融庁の認可を得ることはできません。
一方で日本のユーザーを意識している多くの海外FX業者は、公式サイトやサポートなどサービス体制で日本語対応をしていることあります。しかしこのような行為は、日本の金融庁に登録していないのに日本在住者へ向けて自社サービスの勧誘を行ったとみなされ、複数の海外FX業者が日本の金融庁から「無登録で金融商品取引業を行う者」として警告が発せらていますね。
実質としては海外に拠点を置くFX業者に対して、このような警告は法的拘束力はなく、意味を持ちません。さらに、海外FX業者を利用するユーザーから見た場合でも、もちろん海外FXを利用することには違法性はありません。そのため、このような警告はあくまでも利用者に対しての注意喚起といったところでしょう。
以上のようなことから、日本の金融庁の規制下にないFX業者を利用することや海外FX業者に対する警告については、具体的なデメリットとしては限定的と言えますが、心理的にはデメリットとしては感じる人も多いかもしれません。
多くの海外FX業者が信託保全を行なっていない
日本の金融庁の規制下にある国内FX業者では、顧客資金の信託保全(顧客から預かった投資資金を運営資金とは別の信託銀行口座で保全すること)が義務付けられています。そのため万が一資金を預けている業者が破綻したとしても、預けた資金は顧客に返還される形となり、安心して利用することが可能です。
一方で海外FX業者においては、国内FXで一般的な信託保全信託保全スキームを採用している会社は極めて少数派。顧客資金管理は分別管理(顧客から預かった投資資金を運営資金とは別の銀行口座で管理すること)される場合がほとんどです。
もしも業者が破綻した場合には基本的には顧客資金は返還されますが、返還に法的拘束力はありません。信託銀行ではなく、あくまでも業者の別口座扱いですので債務の返済に充てられてしまう可能性がないとは言えず、預けた資金が返ってこないリスクがあります。
海外FX業者によっては出金は海外送金になる
国内FX業者の入出金では、国内銀行間の送金が利用できるため、低コストで簡単に資金移動ができますね。
海外FXでも、最近は代行業者を利用した国内銀行送金での入出金に対応した業者が増えてきているものの、まだそれほど多くはありません。海外FX業者によっては、入金の際に国内銀行送金やクレジットカードなどの簡単な方法が使えることはありますが、利益を含む出金となると海外銀行送金やオンラインウォレットになる業者も少なくなく、その点は不便と言えるでしょう。
海外銀行送金では、少なくとも2,000円〜3,000円程度の手数料がかかり、さらに着金までは数営業日の時間が必要になるため、手数料と時間のコストが必要になります。
国内FX業者に比べてスプレッドは広め
国内FXというと、例えばドル円で0.1pips〜などの非常に狭いスプレッドが特徴です。しかも外付けの取引手数料もかからない業者が多いので、非常に少ないコストで取引できますね。
一方で海外FX業者では、通常口座タイプであるスタンダード口座では、ドル円のスプレッドでは各社1.5pips前後が一般的。低コスト口座タイプでも、合計の取引コストとしては1pips未満というところでしょう。
国内FX業者の極狭スプレッドに慣れた人の場合は、海外FXのスプレッドは広すぎると感じるかも知れません。
国内FXに比べて税制度が不利
国内FXと海外FXでは、利益に対する税制度が異なります。
国内FXでは申告分離課税が適用され、どれだけ利益をあげても税率は20.315％（所得税及び復興特別所得税15.315％、地方税5％）で固定されます。また、3年間は損失額を繰越控除できたり、他の金融取引との損益通算ができるのも国内FXの特徴と言えるでしょう。
一方海外FXによる利益は雑所得という扱いになるため、税制としては総合課税が適用されます。給与所得など他の分野で得た所得と合算した上で納税額が決定され、課税所得が多いほど税率が高くなる累進課税となるため、利益が多くなればなるほど、税率も上がりより多くの税金が発生してしまいます。さらに、海外FXで発生した損益に対しては損益通算が可能ですが、それ以外の損益通算や繰越控除はできません。
このように不利な税制度や確定申告の煩わしさは、海外FXのデメリットと言えるでしょう。
日本向けのサービスを終了する場合がある
稀なケースですが、海外FXではその業者が取得しているライセンスの規制機関の指導などによっては、日本向けのサービスを終了する場合があります。
もちろん、突如として行方をくらますということはなく、口座を利用するユーザーにはあらかじめ連絡されますが、お気に入りの海外FX業者が使えなくなる可能性もあることは念頭に置いておくべきでしょう。
海外FXのメリット
続いて、ここからは海外FXを利用した場合に得られるメリットを確認していきましょう。
海外FXでは、ゼロカット、ボーナス、最大レバレッジの高さ、取引方式など、国内FXとは違う方向性で多くの特徴あるサービスが提供されています。
ゼロカットによって追証がない
海外FX最大のメリットと言えるのが、ゼロカットによるマイナス残高補償です。
レバレッジの高い取引を行う場合は、急な価格変動によって最悪の場合は口座残高以上の損失が発生する場合があります。例えば2015年のスイスフランショックでは、国内FXを利用していたユーザーの中には価格の急変動によって高額の追証を抱えてしまった例が少なくありませんでした。
海外FXでは多くの業者が、ユーザーのマイナス分の残高を負担するゼロカットという仕組みを採用しているため、万一の際にも追証がありません。このようなゼロカットの仕組みは取引をする上で大きな安心に繋がると言えるでしょう。
ただし、すべての海外FX業者がゼロカットに対応している訳ではありません。ごく稀にゼロカット不対応の海外FX業者もありますので、口座開設の前には十分確認しておく必要があります。
国内FXに比べて最大レバレッジが桁違いに高い
現在すべての国内FXでは、個人口座の最大レバレッジは25倍が上限です。一方で海外FXの最大レバレッジは業者によって異なりますが、低い業者でも200倍、平均的には500倍〜1000倍、高い業者になると無制限という桁違いのレバレッジを提供している場合もあります。
このような高いレバレッジは、取引における資金効率の良さに繋がります。例として、レバレッジ25倍の国内FX業者と、レバレッジ500倍の海外FX業者で、1万円からFXをスタートする場合を考えてみましょう。
この条件で国内FX業者で取引する場合は1,000通貨〜2,000通貨での取引が限界ですが、海外FX業者では1,000通貨〜5万通貨程度の取引が可能です。小額の投資資金からでも挑戦しやすく、さらには短い期間で大きく稼ぐことも可能なのが、海外FXの特徴でありメリットと言えるでしょう。
もちろん、レバレッジを効かせたトレード(＝証拠金に対してロット数の大きいトレード)は、高いリワードだけではなくリスクも伴います。しかしこのようなリスクは、資金管理をしっかりと行うことで防げるものでもあり、自分自身の資金量や技量に見合った取引をすれば、ハイレバレッジは取引における大きなアドバンテージとなるでしょう。
NDD方式によって、取引の透明性が高く取引方法の制限も少ない
取引方式の面でも、海外FXと国内FXでは下記のように大きな違いがあります。
| 海外FX業者 | 国内FX業者 | |
| 取引方式 | NDD方式(ノンディーリングデスク方式) | DD方式(ディーリングデスク方式) |
| 特徴とメリット | NDD方式はその中でさらにSTP方式やECN方式などの分類がありすが、全般の特徴としてはユーザーの注文はインターバンク市場で決済される点にあります。注文がインターバンク市場で扱われることの透明性・公平性の高さや、約定力の強さ、そしてスキャルピングに対して制限がないことなどがメリットです。 | DD方式は相対方式などとも言われ、ユーザーはFX業者と取引する形になります。非常に狭いスプレッドで取引できたり、スリッページが起こりにくいメリットがあります。 |
| デメリット | NDD方式ではFX業者の収入は取引の際の手数料(スプレッドなど)が主なので、スプレッドはDD方式に比べて広くなりがちです。また、市場の流動性が低い時やボラティリティが急激に高まる時は、スリッページが起こる場合があります。 | 業者が処理できない注文に対しては約定拒否が起きる場合があることや、スキャルピングを禁止しているなどのデメリット、そして取引方法の仕組み上、本質的に抱えている不透明性や不公平性が問題にされる場合があります。 |
もちろん、すべての海外FX業者がNDD方式を採用しているわけではなく、そしてすべての国内FX業者がDD方式を行なっているわけではありません。上記の比較表はあくまで全体的な傾向となります。
海外FXで主流のNDD方式は、取引環境の透明性・公平性の高さや約定力の強さ、そしてスキャルピングに対して制限がないなどの特徴があります。より良い取引環境を求める人にとっても、海外FXは有力な選択肢と言えるでしょう。
FXだけではなく仮想通貨や株式など、取引可能な銘柄が多い
海外FX業者では、取引可能なFX通貨ペアの多さや、取引可能銘柄の多さもメリットに挙げられます。
50種類くらいのFX通貨ペアを扱っていることは珍しくなく、それ以外に仮想通貨、国内外の株式、貴金属やエネルギー、商品、株価指数など、海外FX業者によっては非常に範囲が広いのが特徴ですね。
しかもそれらの銘柄は、専用口座を開設することなく、1つの口座の中で取引可能である点も魅力的でしょう。
ボーナスキャンペーンが高額で豊富
海外FXの中には、ボーナスキャンペーンに力を入れている業者があります。そうした業者では、以下のようなキャンペーンを行なっている場合があります。
| キャンペーン | キャンペーン内容 |
| 入金ボーナス | 入金額に対して一定割合を付与するキャンペーン。5万円までの100％ボーナスなどが一般的ですが、業者によってはさらに高額の場合もあります。 |
| 口座開設ボーナス | 新規口座開設をすると取引用の証拠金がもらえるキャンペーン。数千円〜数万円と、業者によって金額は異なります。 |
| キャッシュバックキャンペーン | 取引した量に応じて、現金やボーナスが返ってくるキャンペーン。 |
例えば100%入金ボーナスを利用すれば、自己資金を一気に倍にして取引することが可能です。レバレッジの高い海外FXでは資金力は非常に重要な要素となり、有効活用することでより有利で効率的な取引ができるでしょう。
ただし、ボーナスキャンペーンはまったく行なっていない業者もあるので、利用したい場合はあらかじめ確認した方が良いですね。
MT4やMT5を利用して、裁量トレードや自動売買(EA)の取引ができる
多くの国内FX業者では、取引のために各社の独自ツールを使用する場合が多いですが、ほとんどの海外FX業者では、世界的に支持されている取引ツールであるMT4やMT5を利用できます。
MT4やMT5は世界的に普及しているスタンダードな取引プラットフォームのため、自動売買用のEA(エキスパートアドバイザー)の数も非常に多く、裁量トレードはもちろんのこと、自動売買を含めたあらゆるトレードスタイルに対応できるでしょう。
同じMT4/MT5の口座であれば、FX業者を問わずログインする取引口座を切り替えて使える点も便利ですね。
多くの優良海外FX業者が海外のライセンスを取得し、日本語にも対応している
海外FX業者に対して、よく分からない、怪しい、といったイメージを持つ人も多いかも知れません。
しかし多くの優良海外FX業者は、海外の金融ライセンスを取得してその規制下にあるため、一定の信頼が置けます。そして現在では、公式サイトを日本語化しカスタマーサポートでも日本語でのメールやチャット対応している業者も多いですね。
言い換えれば、海外の金融ライセンスを取得し、日本語に対応しており、経営が安定している(運営歴が長い)海外FX業者を選べば、ある程度は安心して利用できると言えるでしょう。
海外FXはこんな人におすすめ
最後に、海外FXの利用をおすすめするユーザーのタイプを見ていきたいと思います。国内FXと海外FXのどちらを選ぶかで迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
急な価格変動によって追証を抱えたくない人
FX取引を行う上で最も怖いのが、自分自身のコントロールできる範囲を超えた損失が出ることではないでしょうか。
例えば損切りラインをしっかり設定したにも関わらず、急な価格変動によって多額の追証が発生してしまう、というような事態は国内FXにおいて実際に発生しており、今後も発生する可能性は否定できません。
追証の不安が強い人は、ゼロカットによる補償がある海外FXがおすすめです。
高いレバレッジや豊富なボーナスを利用して、アグレッシブに取引したい人
高い最大レバレッジや高額で豊富なボーナスキャンペーンは、海外FXの一番の魅力とも言えるでしょう。国内FXではなかなか得られないこのようなサービスを活用すれば、アグレッシブに資金を増やすことができますし、少額からでも大きな利益を手にできる可能性があります。
もちろんギャンブル的なトレードは推奨できませんが、資金管理をしっかり行った上でハイレバレッジを活用して大きく稼ぎたいという人にとって海外FXは良い選択肢でしょう。
数千円程度の小額からFXを始めてみたい人
一般的な海外FXの最小取引量は、1,000通貨です。もし最大レバレッジが500倍ならこの取引に必要な証拠金はおよそ200円になります。
国内FXでも1,000通貨が最低取引量の業者はありますが、最低1万通貨〜と設定している業者も少なくありません。仮に1,000通貨を取引する場合でも、レバレッジが25倍では最低限必要な証拠金はおよそ4,000円と、海外FXの数十倍の資金が必要になります。
海外FXの高いレバレッジは、超小額の取引とも相性が良いので、まずは数千円から試してみたい初心者の方にも適しているでしょう。
まとめ
国内FXと比較した場合、海外FXには日本の金融庁のライセンスを取得していないことや、業者内での顧客資金の管理方法として信託保全を行なっている業者が少ないことなどのデメリットやリスクがあります。その一方で、ゼロカットによって追証がないこと、そして非常に高いレバレッジや豪華なボーナスキャンペーンなどは、海外FXの大きなメリットと言えるでしょう。
どちらにもメリットとデメリットがあるため、単純に優劣をつけるのは難しいですが、自分自身がFX取引で何を重視するかを知って、それに合ったFX業者を選ぶことが重要ですね。
当サイトが厳選したおすすめ優良海外FX業者の総合ランキングは下記ページにまとめています。海外FX業者を様々なポイントで多角的に比較しているため、海外FX業者選びに迷っている人はぜひ参考にしてください。
コメント