Tradeviewは2004年に設立した老舗とも言える海外FX業者です。しかし日本参入は2016年と比較的遅く、公式サイトの日本語化にあまり力が入っていない点や、ボーナスキャンペーンも一切おこなっていないことなどから、日本での知名度はあまり高くはありませんね。
そんなTradeviewですが、海外FXのECN口座の中ではトップレベルの取引コストの少なさを誇っており、その点が最大の魅力とも言えるでしょう。TradeviewのECN口座であるILC口座は、ユーロドルなどで最小0pipsの低スプレッドに加えて、1ロットあたり往復5ドルという少額の取引手数料が設定されており、取引環境とコストをより重視するトレーダーにとっては、有力な選択肢となりますね。
そこで本記事ではTradeviewのスプレッドについて、口座タイプによる違いや他社との比較を行いながら、特徴や注意点を解説したいと思います。
Tradeviewのスプレッドの特徴
まず最初に、Tradeviewのスプレッドについて、全般の特徴、そして各口座タイプでの特徴を確認していきたいと思います。
全口座タイプで変動制スプレッドを提供
Tradeviewでは2つの口座タイプを提供しており、その両方でスプレッドは変動制となっています。
変動制スプレッドは固定制スプレッドとは違い、流動性やボラティリティなどの相場状況によって、0.1pips単位でスプレッド幅が細かく変わる特徴がありますね。
東京・ロンドン・ニューヨークなどの主要市場が開場している時間帯では、その業者の最低スプレッドに近い狭いスプレッドで取引可能ですが、日本時間の早朝や注目される指標発表時などはスプレッドが広がる場合があります。
手数料不要のXレバレッジ口座のスプレッドは平均的
Tradeviewが提供する2つの口座のうち、スタンダード口座に相当するのが「Xレバレッジ口座」です。
外付けの取引手数料はなく、初回最小入金額は100ドル、最大レバレッジは400倍など取引しやすい条件が整っていますが、スプレッド幅は平均よりもやや広めの印象。
ユーロドルやドル円の平均スプレッドは2pips前後となっており、お世辞にも狭いとは言えません。ボーナスキャンペーンも一切おこなっていないTradeviewでは、Xレバレッジ口座は少々おすすめしにくい口座タイプと言えるでしょう。
ILC口座では最小0pips/1ロット往復5ドルの超低コスト取引が可能
Tradeviewの口座タイプで主力となるのが、ECN方式による「ILC口座」です。
ユーロドルやポンドドルの主要通貨ペアで最小0pips、ドル円でも最小0.2pipsの極狭スプレッドで取引可能ですが、それに加えて大きな魅力は取引手数料の少なさでしょう。
ILC口座の取引手数料は、1ロットあたり片道2.5ドル/往復5ドルとなっており、海外FXのECN口座の手数料としては最小水準です。またTradeviewが対応している取引ツールは、定番のMT4/MT5だけではなく、ECN取引に相性が良いとされるcTraderや、プロ向けと言われる裁量トレード専用ツールのCURRENEXなどにも対応しています。
ただし、ILC口座の最大レバレッジはデフォルトで100倍、最小取引ロットは0.1ロットとなっており、中上級者向けの仕様ですね。より少ないコストで取引したいトレーダーには、おすすめの口座タイプと言えます。
Tradeviewの口座タイプ/通貨ペアごとの平均スプレッド
続いて、Tradeviewの平均スプレッドを口座タイプと通貨ペアごとに確認していきたいと思います。
Xレバレッジ口座の平均スプレッド
Xレバレッジ口座は手数料不要の口座タイプなので、基本的な取引コストはスプレッドのみです。通貨ペアごとの主要時間帯での平均スプレッドをまとめると以下のようになりますね。
EURUSD | 1.8pips |
USDJPY | 2.1pips |
GBPUSD | 2.1pips |
AUDUSD | 2.1pips |
USDCAD | 2.7pips |
USDCHF | 2.3pips |
NZDUSD | 2.8pips |
EURJPY | 2.1pips |
GBPUSD | 2.6pips |
AUDJPY | 2.7pips |
ほとんどの通貨ペアで2pipsを上回っており、海外FXのスタンダード口座としてはスプレッドは広めとなっています。
ILC口座の平均スプレッド
次は低スプレッドECN口座であるILC口座についても、通貨ペアごとの主要時間帯での平均スプレッドを見ていきましょう。
ILC口座では、1ロットあたり往復5ドル(pipsに換算するとおよそ0.5pips)の取引手数料がかかりますので、カッコ内に取引手数料も含めた合計の取引コストも記載します。
EURUSD | 0.1pips(0.6pips) |
USDJPY | 0.3pips(0.8pips) |
GBPUSD | 0.3pips(0.8pips) |
AUDUSD | 0.3pips(0.8pips) |
USDCAD | 0.5pips(1pips) |
USDCHF | 0.5pips(1pips) |
NZDUSD | 0.6pips(1.1pips) |
EURJPY | 0.3pips(0.8pips) |
GBPUSD | 0.8pips(1.3pips) |
AUDJPY | 0.5pips(1pips) |
ILC口座の魅力は、スプレッドの狭さだけではなく取引手数料の少なさにもあります。今回確認した多くの通貨ペアで、スプレッド+取引手数料の合計コストが1pips以下となっており、海外FXの取引コストとしては、非常に優れていますね。
他社とのスプレッド比較
低スプレッドが魅力のTradeviewですが、他社と比較をした方が特徴はよく分かります。ここからは口座タイプ・通貨ペアごとに、主要な海外FX業者とTradeviewのスプレッドを比べてみましょう。
スタンダード口座でのスプレッド比較
まずは、各社のスタンダード口座やそれに相当する口座タイプで、主要通貨ペアの平均スプレッドを比較しましょう。比較するスタンダード口座は以下の通りです。
- Tradeview:Xレバレッジ口座
- XM:スタンダード口座
- GemForex:オールインワン口座
- TitanFX:スタンダード口座
- FXGT:スタンダード口座
- TradersTrust:クラシック口座
各口座タイプの平均スプレッドは以下のようになりますね。
Tradeview | XM | GemForex | TitanFX | FXGT | TradersTrust | |
EURUSD | 1.8pips | 1.8pips | 1.3pips | 1.1pips | 1.4pips | 1.2pips |
USDJPY | 2.1pips | 1.6pips | 1.3pips | 1.3pips | 1.7pips | 1.7pips |
GBPUSD | 2.1pips | 2.1pips | 2.1pips | 1.4pips | 1.7pips | 1.8pips |
AUDUSD | 2.1pips | 1.7pips | 2.1pips | 1.1pips | 1.6pips | 1.6pips |
USDCAD | 2.7pips | 2.3pips | 2.1pips | 1.5pips | 2.3pips | 2.5pips |
USDCHF | 2.3pips | 1.9pips | 3.4pips | 1.5pips | 2.3pips | 2pips |
TradeviewのXレバレッジ口座では、今回比較したほとんどの通貨ペアで平均2pipsを超えるスプレッドとなりました。他社のスタンダード口座と比較しても、やや広めの結果となりましたね。
同じく低スプレッドが売りのTitanFXではスタンダード口座でも狭めのスプレッドを提供しているため、好対照となっています。
低スプレッド口座での取引手数料とスプレッド比較
続いて、各社の低スプレッド口座タイプで、主要通貨ペアの平均スプレッドを比較しましょう。比較する低スプレッド口座は以下の通りです。
- Tradeview:ILC口座
- XM:XM Zero口座
- GemForex:ノースプレッド口座
- TitanFX:ブレード口座
- FXGT:ECN口座
- TradersTrust:プロ口座
ECN方式の口座タイプでは、スプレッドとは別に取引手数料も必要になることがほとんどです。各業者の1ロットあたりの往復取引手数料(括弧内はスプレッド換算値)をまとめると以下のようになりますね。
Tradeview | XM | GemForex | TitanFX | FXGT | TradersTrust | |
1ロットあたりの取引手数料 | 5ドル(0.5pips) | 10ドル(1pips) | なし | 7ドル(0.7pips) | 10ドル(1pips) | 6ドル (0.6pips) |
これを踏まえた上で、各口座タイプの平均スプレッド(括弧内はスプレッドと取引手数料の合計コスト)をまとめると以下のようになります。
Tradeview | XM | GemForex | TitanFX | FXGT | TradersTrust | |
EURUSD | 0.1pips (0.6pips) | 0.1pips (1.1pips) | 0.4pips | 0.1pips (0.8pips) | 0.1pips (1.1pips) | 0.3pips (0.9pips) |
USDJPY | 0.3pips (0.8pips) | 0.1pips (1.1pips) | 0.4pips | 0.3pips (1pips) | 0.1pips (1.1pips) | 0.5pips (1.1pips) |
GBPUSD | 0.3pips (0.8pips) | 0.1pips (1.1pips) | 1.5pips | 0.4pips (1.1pips) | 0.4pips (1.4pips) | 0.7pips (1.3pips) |
AUDUSD | 0.3pips (0.8pips) | 0.3pips (1.3pips) | 0.6pips | 0.1pips (0.8pips) | 0.5pips (1.5pips) | 0.4pips (1pips) |
USDCAD | 0.5pips (1pips) | 0.5pips (1.5pips) | 0.8pips | 0.5pips (1.2pips) | 0.6pips (1.6pips) | 0.8pips (1.4pips) |
USDCHF | 0.5pips (1pips) | 0.4pips (1.4pips) | 1pips | 0.5pips (1.2pips) | 0.5pips (1.5pips) | 0.5pips (1.1pips) |
※GemForexはDD方式を採用する業者のため、今回比較の他社低スプレッド口座とは取引の際の条件が異なります。スプレッドは参考としてください。
※TradersTrustでは初回入金200万円以上で利用できる「VIP口座」もあります。VIP口座の場合は、プロ口座と同じスプレッド幅で取引手数料が半額の1ロットあたり往復3ドルになります。今回は各社で比較する口座の利用条件を近づけるために、あえてプロ口座での比較としています。
TradeviewのILC口座は、スプレッドと取引手数料を含む合計コストで、今回比較した口座タイプと通貨ペアの中では最小値となりました(GemForexを除く)。
スプレッドの狭さだけならXMなども魅力的ですが、取引手数料も含めた総コストで言えば、ILC口座は非常に優れていると言えるでしょう。
Tradeview利用時の注意点
最後に、Tradeviewのスプレッドに関する注意点を確認しておきたいと思います。また、Tradeviewの主力口座タイプであるILC口座利用時の注意点などについても、合わせて見ていきましょう。
早朝や指標発表時はスプレッドが拡大する場合がある
Tradeviewは変動制スプレッドを採用しています。そのため、流動性が低くなるサーバー時間で日付変更の時間帯(日本時間でおよそ朝6〜7時ごろ)には、低スプレッドのILC口座でも、一時的に10pips程度までスプレッドの拡大が見られます。
また、指標発表などのファンダメンタルズ要因でボラティリティが高くなるタイミングでもスプレッドは広がる場合があるので、注意が必要ですね。
ILC口座の基本的な最大レバレッジは100倍。最小取引量は0.1ロット
Tradeviewで取引するならILC口座の一択、と言っても良いほど低コスト取引が魅力のILC口座ですが、口座スペックには気を付けなければいけません。
具体的には、基本的な最大レバレッジは100倍、最小取引量は0.1ロット、初回最小入金額は1,000ドルなど、初心者が気軽に利用するにはやや高いハードルが設けられています。
海外FXとしてはレバレッジは低く、さらに最小取引量が大きめなので、利用者にはある程度まとまった資金量と取引技術が求められます。
日本語対応不十分など、中上級者向けブローカー
ILC口座のスペックの渋さだけではなく、Tradeviewそのものが海外FX経験の少ないトレーダーにはおすすめしにくい要素を持っています。
その際たるものが、公式サイトの日本語での情報の少なさや分かりにくさですね。英語表示などにすることで、多少は見られる情報の幅が広がりますが、日本語表示のままだと重要な情報にはほとんどたどり着けません。
カスタマーサポートは日本語対応しているので分からないことは問い合わせ可能ですが、Tradeviewは他の海外FX業者と比べると、中上級者向けブローカーと言えるでしょう。
まとめ
ボーナスキャンペーンを一切行わないTradeviewでは、スプレッドが広いXレバレッジ口座を利用するメリットはほとんどありません。必然的に、Tradeviewは圧倒的な低コスト取引ができるILC口座を目当てにしたトレーダー向けの業者と言えるわけですが、そのILC口座のスペックは初心者には厳しい内容となっており、その点は少々注意が必要と言えるでしょう。
とは言えやはり手数料を含めた総コストの低さという点では、ILC口座は他業者と比較しても非常に優れています。資金量やトレード技術に自信があり、低スプレッド低コスト取引に魅力を感じるトレーダーは、ILC口座の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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